高文机と高座椅子

 

高文机と高座椅子2

<May.2018>
材料:欅
仕上げ:拭漆(+松煙)
高文机 size:H : 500mm <天板:W : 1140 × D : 480 〜280>
            <脚:W : 1260 × D : 500>
高座椅子 size:H : 660mm <座:H : 280 × W : ≒ 360 × D : 415>
             <脚:W : 600 × D : 500>

欅による文机と座椅子です。
高齢になってくると膝を曲げる正座や胡座が辛くなり、高さ300〜250mmの文机に向かうのは遠慮したくなったりします。脚が悪くなって来た母に高座椅子を作ったこともあり、この方向で文机、座椅子をデザインしました。高座椅子という語があるなら高文机という語があっても良いじゃないか、と勝手に高文机という名称としました。

決して上級品とは言えない欅板を使用しています。天板のサイズも長さは1140mm、幅が480 〜280mm、厚みが37mm、木目も面白味があるものの鉋掛けは苦労する扱い難い材です。わたしが優良材ばかり使っていたなら薪にしていたかもしれません。が、この欅を生かすデザインを考えていくことは木との融合とも感じます。

全体のデザインは、天板と脚部を95度の天秤で組み重量感、安定感を作り、天板と脚部が曲線的ラインでの構成であることから摺足は直線的ラインで全体的な締まりを作りました。天板にはローズウッドのクロアゲハを象嵌して少しばかり心の緩みを持たせています。クロアゲハは漆で黒くなる目論見でしたが‥‥。

高座椅子は、座板と背もたれに幅300mmの材を使用していますが、座板では狭すぎるため半割して材を接ぎ扇状にしています。座面は地から3度傾斜、座面と背もたれは105度としています。背もたれと座刳りの跡はそのまま残して見た目と触感を和らげ、摺足を文机と同様に直線的ラインで締めています。低めの座板の下を広く設定したのは膝から下の脚の遊びスペースが必要と考えたからです。

仕上げはどちらも松煙を加えた拭漆仕上げとしています。欅と漆は流石に相性が良い!と改めて感じます。

※Blog「欅の高文机と高座椅子」も参考にしてください。