<Dec.2020>
材料:木曽檜、欅、米ヒバ
仕上げ:木地仕上げ
size:H : 700mm × W : 900 × D : 1000
蕎麦打ち台
天板は木曽檜で一枚板を半割し2枚接ぎとしています。製材時41mm厚は手鉋仕上げで37mmとなりました。水分を含む麺生地を打つためサンディングはしません。サンディングですと間違いなく毛羽立ちを起こし生地の水分を吸収して麺そのものがバサつき滑らかに生地を動かすことが出来なくなります。また口に入れるものを打つわけですから表面塗装は行わず木地仕上げです。台が麺の水分を吸い過ぎないためにも丁寧な手鉋作業が必要です。真っ平らな面出しはもちろん鉋枕もほとんど判らない状態にします。
天板に施す蟻桟は欅で3本入れます。両端の蟻桟は54mm×68、中央が54×48で1ヶ月以上前に粗木取りしてシーズニングを済ませています。蟻桟が反っては話になりません。
また見た目が美しい寄せ蟻ではなく木端から20mmまでの通しです。寄せ蟻は端一方が効かなくなるからで道具としての麺打ち台ですから美観以上に機能重視です。
天板の接ぎ合わせ箇所へ接ぎ切れを防ぐため木口側に契りを入れることも考えたのですが、蟻桟に接ぎの近くそれぞれ2箇所丸棒を差すことで天板の接ぎ切れ防止とともに蟻桟の基点にもなるようにしています。
天板の木口には漆を染み込ませています。木地仕上げですから外気の影響を直接受けます。最も影響を受け易い木口に漆を染み込ませて木口割れを防止します。天然素材の漆は浸透性が高く接着能力もあり非常に効果があります。白い檜に黒‥‥機能美として捉えてください。
脚部は米ヒバを使っています。麺打ちは前後方向に力が加わるため組み立て式の左右それぞれは固定とし、貫2本で組み上げる形としました。貫は左右それぞれ蟻組みの落とし込みとなります。組み立て式なので脚部の左右揺れがわずかにありそれが気になって貫にジョイントボルトをセッティングしています。写真はありません。
天板の蟻桟と脚部とは相欠きで位置決めとなります。
台は脚部を含め全てサンディングを行わない手鉋による木地仕上げ、としています。
延し棒
旋盤を所有していないため、丸棒は外注制作です。
材は山桜です。木地のものと拭漆仕上げのものそれぞれ2本ずつ。
駒板
手元に1枚残していた15年ほど前に制作した駒板です。蕎麦職人から評価されたもので数年後追加注文も受けました。
包丁を下ろす際の駒板当たり面の木目、麺生地を滑る当たり面の木目に十分配慮したものです。材は山桜とカツラ。仕上げはもちろん木地仕上げです。