階段箪笥

階段箪笥
<Apl. 2014>

材:欅(けやき)、杉、キハダ、桐、スプルース
仕上げ: 本体:拭き漆(前処理:柿渋+松煙) 抽斗前板:拭き漆 その他:柿渋+松煙等
全体:size:W : 2160mm × H : 2160 × D : 750
下段:size:W : 2160mm × H : 960 × D : 750
上段:size:W : 1200mm × H : 1200 × D : 750

欅(けやき)の階段箪笥です。
2014年夏に入れ物(建物)も完成しました。柿渋仕上げの引き戸の鏡板は、完成当初の白さが渋さに変わり良い風合いを出していました。最上段の飾りスペースは梁が邪魔をすることから鏡板に変更しました。

材は、本体が欅、背板、底板、側の幕板は杉、抽斗構成材は桐とスプルース、下段引き戸の幕板はキハダ、最上部の飾り棚部分は木曾檜。
仕上げは拭き漆ですが、踏み板、幕板を含む本体、及び戸板の框部分は、柿渋に松煙を加えたもので前処理を行ってから漆を重ねています。黒っぽい仕上がりとなります。抽斗の前板、上段引き戸の鏡板は松煙を用いずに柿渋で前処理を行ってから漆を重ねています。写真では分かりにくい(撮影が下手なだけです。)のですが抽斗部分を明るくしたということです。経年変化でもっとはっきりしてきます。

多用したのは剣留め(通しほぞ)と留め形の組みで、2枚ほぞを基本としています。組み上げる際は順番を決めておかないと取り返しがつかないことになります。特に硬い欅で2枚の通しですから、一旦組んでしまうと抜いてやり直すなどということは不可能です。また、私は拭き漆であっても仮組みということをしません。部材加工に絶対的な自信があるわけではなく、加工それぞれに集中してきたのだ!と自分に言い聞かせているということです。そうしないと次の工程に入れない。

最上部、2段目は抽斗を設置しても、実用的ではありません。そのため白い檜で囲った奥行き120mmの飾りスペースとし階段側からは幕板を倹飩(けんどん)方式で外す収納スペースとしました。
抽斗前板の木目の選定、レイアウトは、私なりに面白味が出ていると思います。最も大きな下段の引き戸のデザインはシンプルにすることで全体のまとまりを良くしました。
囲炉裏淵はわたしからのお祝いです。欅(けやき)で柿渋仕上げ、契りは松煙を加えた柿渋仕上げとしました。
とにかく重いです。堅牢です。末代までお使いいただけます。