楢仏壇2016

仏壇正面斜視 <Dec.2016>
材料:楢、桐、ピューター合金(=錫合金鋳物、把手、つまみ)
仕上げ:拭漆(+松煙)
size:H : 470mm × W : 630 × D : 330

楢による仏壇です。 この仏壇は「佛安佛檀店」様からご依頼いただきました。
熱心なお客様で、市販材でモデルを何度か作られて「佛安佛檀店」様と打ち合わせを重ねていらっしゃいました。最終打ち合わせではお客様家族と「佛安佛檀店」様とがこちらまで来られました。
基本デザインはお客様が作られ、わたしからはデザイン上でのアドバイスを行い、制作工程など細かな説明をさせてもらいました。 わたしが以前制作した仏壇と「佛安佛檀店」オリジナル仏壇とがお気に入りだったようで、本体を楢、松煙を加えた拭漆仕上げ、把手とつまみは錫合金鋳物(ピューター合金)とし、ご家族の意向を加味したデザインとなりました。

全体は松煙を加えた拭漆仕上げですが、雨戸(扉)周りは全体よりさらに黒くしています。この部分のみ松煙を多めに加えた漆で先に処理しておきます。
全体の組み工法は、天板と側板は蟻組みで側板を差し入れた後、棚板を背側から差し入れて内側の部材をセッティング、背板を落とし込み、側板と地板と枘組みします。脚部は地板の蟻桟となります。 すでに拭漆で表面を仕上げているため、傷付かないように組む際には押さえの部分には薄いゴム板を当てます。拭漆を始めた頃からこの方法で表面を保護しながら組んでいます。
地板の厚みは30mmですが、前と左右は段欠きして15mm、さらに前は雨戸の収まり部分の段欠きも行なっています。

扉(雨戸)は反りを極力抑えるために、桜仏壇と同様に2枚を張り合わせています。端嵌めも勧めたのですがこちらが好みとのことです。幅200mmくらいまでは反りを十分抑えられます。
地板に抽斗が擦れて塗面が剥がれることがないように、抽斗側板下の欠き取りとガイド板で抽斗が0.5mm浮くように設計しています。

スライド板は雨戸内ではなく地板下の脚部で目立たない深さでレイアウトしてあります。厚さ8mmと薄いのですがいつもの端嵌めとしています。
雨戸把手 把手とつまみは錫合金鋳物。把手は当初厚さ15mmで制作したのですが雨戸に置いてみたところその厚みが気に入らず12mmで新しく作りました。ナットを埋め込むギリギリの厚みかと思います。

拭漆は久しぶりでしたが、楢の虎斑を存分に使ったのも久しぶりでした。高揚しました。