材料:木曽檜
本体:外size:W:350mm × D:350 × H:90
内size:W:255mm × D:255 × H:75(約1升5合)
台:size:W:480mm × D:480
仕上げ:生地
父親から材料原価での依頼です。
石川県の実家では、毎年正月に 向けて餅搗きをしています。
餅米を蒸籠(せいろう/せいろ)で蒸し、5~10臼ほど搗いています。(私も搗きます。)
実家には、檜で出来た一般的な2升用の蒸籠と、何故か杉で出来た1升5合のものがあります。
不思議と毎回杉の1升5合のものを使っています。
2升搗きがシンドイのか、それとも餅米の量が少ないと蒸しと搗きの時間が短く餅の搗き上がりが良いのか、父親の長年の経験からの選択です。
(杉の蒸籠は、亡き祖父が誰かに作ってもらったようですが‥‥真相は不明。)
当然のことながら、杉という材で半世紀も使えばガタが来ます。
で、作れ、となりました。
「檜のを使えば良いじゃないか」と言えば、
「この(杉の)大きさが良い」と言います。
蒸籠も、道具として慣れ親しんだものが一番と言うことでしょうか。
制作では、家具制作のように接着材は使いません。
本体の組みは、諸欠き追入れ矧ぎ(はぎ)で2本の通しほぞ、竹の栓で固定します。
蓋と台座の板作りは、矧ぎ部分で材の伸縮による隙間が出来ないように、また反りが出ないようにする必要があります。
蓋の板作りは、いすか決まり平矧ぎと両端に竹釘。把手は止め蟻掛け吸い付きで2本はそれぞれ逆方向から入れてあります。
蒸籠が乗る台の板作りは、蟻形核平矧ぎ。台座2本は前後の座2本と組んで同方向から止め蟻掛け吸い付きで入れています。
それぞれ蟻桟は、止め部分に竹釘で位置決めしています。
テーブルの天板など数枚の板材を矧いで一枚板にする場合、私は通常共木の雇い核(さね)で接着剤使用です。そして蟻桟を入れます。
今回、いすか決まり平矧ぎ、蟻形核平矧ぎのように、魔法(?)の接着剤を使わない板作りの作業などは、木という材の特性を確認する上でも良い作業です。良い経験となりました。
ちなみに、木曽檜は銘木と言われるだけのことはあります。木工やっている人だととても良く解ると思います。木目が細かく、ほとんど反りが出ず、柔らかいけれど固い、非常に素直で安心して加工ができます。