”機械は手の延長線上にある”と思っています。
機械加工は手加工より効率良く、キレイに加工する手段でもあります。機械加工を否定する気は全くありません。良い機械を上手く使えればそれに越したことはないと思います。ただ欲しいと思う機械を導入(購入)する余裕はなかなか出て来ません。既存の機械にいろいろと補機や治具を作り取り付けて意図する仕上げを試みるのですが、「こりゃあ手だな」ってことは良くあります。
また、所有する数少ない機械で加工しているとデザインの発想もその機械加工に縛られがちで線や面も直線的になりやすいです(わたしだけかも)。ところが手加工に慣れてくると「機械で出来なきゃ手でやれば良いじゃん!」となり、デザインの自由度が広がります。それは全体のデザインは勿論ですがパーツの些細な箇所にも生きてくると思っています。これはCADと手描き図面にも当てはまります。
話は少し離れますが、木工屋になった当初、機械加工がメインでまともに使った手道具は平台鉋くらいでした。単品であるのにその都度治具を作っていて、気が付けば一度しか使わなかった治具が増え埃が積もっていました。今は補機や治具を作る時は汎用性のあるものにしています(単に端材ってことも多々ありますが)。
さて椅子ですが、箱物やテーブル、机などと比べると圧倒的に手加工が多いです。何せ直線が無い肉体を支えるものですから。公園のベンチでさえ昔は板を平らに並べただけだったのが今では曲面に並べてあります(昼寝には不向き‥‥)。オーダー家具を作る木工屋としては平らな座板や背板などはあまり好みません。
パーツごとに見ていきます。 続きを読む 椅子は手加工が多い