ある日の会話
「今、拭漆やってるんですけど、乾いてくれなくって泣いてます」
「あら、漆やってるんですか?」
「ええ、拭漆」
「かんざし作ってくださいな」
「かんざしって、柘植(つげ)でですか?」
「櫛じゃないわよ。かんざし、一本かんざし。柘植じゃなくって構わないのよ」
「一本かんざしって、何ですか?それ」
「あら、わからない?箸よ、箸」
「はああ?箸??」
「そう、箸の一本を髪に刺すのよ」
「……もしかして日本髪結ったところに刺してるあれですか?」
「それもかんざしだけど。長い髪をクルって巻いて刺して髪を留めておくのよ」
「はああ?一本で髪留まるんですか?」
「留まるわよ。調べてごらんなさい。じゃあよろしくね」
「はぁ……」
ってことで『一本かんざし』なるものを作ることに。
どんな風に使うものかYouTubeで見てみた。
なるほど……
ローズウッドに拭漆。黒檀のように真っ黒。