精度ある端嵌め加工へ
端嵌めは木工を始めてから直ぐに取り入れているのですが、表と裏の加工には毎回苦心惨憺。どんなに神経を尖らせて集中しても表と裏の切削量が微妙にずれ、手加工で微調整を行い仕上げていました。
ルーターマシンや核加工専用のビット(二枚のストレートビットの間にコロが付いている、かな?)を持っている木工屋さんはそれほど悩んでいないのかもしれませんが、わたしはどちらも所有していません。
今までは、端嵌め専用のガイドを表と裏それぞれにセッティングしルーターやトリマーで加工していました。また、本核ではなく雇い核を用いたこともあります。ただこれは芳しくなく直ぐ止めました。
核の端を基準に
今一度、頭の中でより少ない工程で精度が出る最良の方法を整理し、否が応でもビットによる加工が必要になることを再確認しました。ビットを入れてある抽斗を探ると核加工専用ではないもののコロ付きの大径(24mm)のストレートビットが見つかり、切削状態を確かめてみました。。
加工の基準を核の端に置くという方法を考えました。つまり、核の端を精度高く加工しておきここにコロを当て表裏両面を切削する方法です。
正解です!
また、このビットは前述の核加工専用のビット(量産品で価格は1.5万円ほど、さらにインチのみ)より低価格です。端嵌めを採用したい方にオススメです。コロ(ベアリング)のサイズで核の奥行き変更もできます。
なお、ビット加工の前に基準となる核をボンドで固くして加工時に核がこぼれないようにしておくとより安心して加工できます。特にトチのように柔らかくて欠けやすい木目が杢状の材には有効です。
おまけ
おまけの写真は、15年程前に制作、納品した肥松の茶棚の天板部分。
筆返しと一体加工した本核端嵌めを思いつき制作。天板と掛け木(筆返し)とのズレ防止、より接着面を大きくするために噛み合いを斜め(蟻加工)にしています。
おぉ!伝統工藝じゃ。
綺麗ですがね。
・・・・・
当地でも、伝統工藝の木工を極めている人も少なくありませんが、
実は彼らも、こうした部位の加工はルーターマシン(ヘビーデューティ)でやっています。
大きなビットが使えるため、破綻も少ないようです。
でも、こんな機械など使わず、最小限の道具で攻めるのが、伝統工藝っぽい。
「伝統工藝」などと、お恥ずかしい! 巷の木工屋ですけん!
ちなみに、掛け木に多少の反りが出ておりまして(1mmt程度厚めに木取り)、
端材でアイロンによるベンディングを試しました。
いやぁ、参りました!!
杢状のトチにアイロンを掛けると、杢に沿って波打ち‥‥さらに熱いうちに、エイヤッ!と3cmほど抑えたら、バキッ!と折れてしまいました。最終的に掛け木は鉋での面出しとなりました。
今後、アイロンによるベンディングは直行木理! と決めました。