脚部上部のR加工
サイドテーブルの脚と幕板を組み、脚部上部にR加工を施して行きます。
上部の径が5mm小さくデザインしたことから、行程は
- 上部木口に木取りラインを引き、角面を丸くしながらテーパーにする。
- 脚部内側に木取り加工のRラインを引き、板材の厚み出しと同様の手法で、豆鉋で斜めに基準ラインを出す。
- 反り台の豆鉋と南京鉋でR形状に削る。その際、削り過ぎないように両端を鉛筆で黒くしておく。
(豆鉋や南京鉋のように小さな切削では、調子に乗ってついついシャカシャカ削り過ぎてしまうのはわたしだけ?)
抽斗前板とつまみ
抽斗の前板は、トチの縮み杢の細かいものを選択し、つまみは本紫檀の削り出しで制作しました。
前板のオイルフィニッシュは組む前に済ませます。大垣技能専門校では、抽斗を組んでからマスキングしてオイルフィニッシュ、という手順を教えられました。独立当初、わたしは”そういうものだ”と思っていたのですが、抽斗の側板や底板にオイルの滲みが出ることや内側が塗りにくいことなどから直ぐに止めました。特に拭漆の箱物になると塗り重ねを行うために滲みだけではなく至るところに漆が着き汚れとなります。
つまみは小さいながらも枘加工を施すため、傾斜盤での加工は危険が伴うことや、トリマでの加工で材を固定するため2個分とします。また、枘加工を一度に済ませてしまうと糸鋸の加工で材が安定しないために毛引きのみとするところもあり、最終的に手鋸と鑿で仕上げて行きます。
真鍮や銅で「ぶらり」を作ろうかとも考えたのですが、「ぶらり」だと浅い抽斗の前板以上に垂れてしまって「ぶらり」ではなく「だらり」になることから止めました。
組み上げて着色
天板と本体を組み上げて行きます。脚部上部の短いL形の枘のみでは強度的に不安があるため幕板4面とも天板への本核嵌めとしています。
組み上げてから幕板の象嵌部分をマスキングして着色します。抽斗前板と象嵌のトチの白を強調したかったために濃い目にしたのですが、ちと濃すぎたかもしれません。
オイルフィニッシュで完成
わたしはオイルフィニッシュの際、刷毛やウエスで塗った後、エアを吹きながらウエスで拭き取ります。当初はウエスのみで塗りと拭き取りをしていたのですが芳しくない、と思ってのことです。理由は
- 組みしろ部分や奥の方までの塗りと拭き取りが綺麗に出来ない。
- 材の伸縮を想定した構成で、伸縮した際にオイルの塗り残し箇所が出て来る。
- 導管に深くオイルが入りづらい。エアで吹くと奥まで入る。
- 導管に入ったオイルの吹き出しが長時間になる。
- 全体の拭き取り時間を短縮出来る。etc.
導管にオイルが残りそれが固まるのが良い、という方もいらっしゃるかもしれませんが、果たしてどうでしょうか?導管をオイルで満たすのがオイルフィニッシュではないですし、板面でのオイルフィニッシュでの浸透はせいぜいコンマ数ミリです。エアを使えば深くに浸透します。また完璧にオイルを吹き出してしまうわけでもありません。
ちなみに、導管が大きめであるタモの木口にオイルを染み込ませてエアを吹くと30cm以上向こうからオイルが噴き出します。導管内にオイルが行き届いたということです。
というわけで、オイルが乾くのを待つばかりですが、三寒四温の寒の時、なかなか乾いてくれない。
お疲れさま、完成しましたね。
マホガニー色を残して欲しかったですが、これはこれでラグジュアリーでしょう。
オイルフィニッシュの手法、
なるほど、エア吹きつけですか。
メーカーなどはエアガンでオイルを拭いているところもあるかも知れませんが、
エアだけを別途吹くというものも面白いですね。
私も今度やってみようかしら。
iPhone撮影、私もTwitterではしょっちゅうですが、
作品撮影は、ぜひ然るべく・・・
ボケが出せませんのでね。
着色は難しいですね。滅多に行わないこともあり、小さな試し塗りと現物のサイズ違いや、濡れている時と乾いた時、更にその上にオイルフィニッシュやウレタン塗装etc. その都度、腕組みして口をへの字にしています。
エアでのオイルフィニッシュ、試してください。その際はインプレッションを是非!!
そうそう、ゴーグルを掛けるのを忘れずに!特に眼鏡を掛けている人は、レンズにオイルが付着して面倒なことになります!
iPhone撮影・・・仰る通り・・・
『鉋』について、少し書いてみようかなぁ、と思いつつ・・・
確定申告に突入です。