木工作業の工夫13(鑿の斜め切削)

板の組み方には、あられ組みや蟻組みなど様々な手法があります。全て機械加工で済ますこともありますが、蟻組み、天秤指しなどでは最終仕上げに鑿を使用することが多いです。鑿の直角切削の仕上がり
毛引き線を裏表に入れ可能な範囲で機械加工により粗木取りし、毛引き線に固定した当て木に鑿を当てて両側から仕上げるのが一般的かと思います。鑿での切削は1mm以上では木口の中央付近ががこぼれることがしばしばあります。切削量、材の種類や乾燥具合、鑿の切れ具合などにもによってこぼれたりこぼれなかったりします。
組んでしまえば見えないところではあるのですが、出来れば綺麗な方が良い!と思うのはわたしだけではないと思います。

 

 

木口を綺麗に仕上げる方法としては、切削量を小さくするのが一番です。鑿を金槌や木槌を使わず、手押しで切削できる0.1〜0.3mmほどの切削量とすれば良いのです。が、やはり0.5〜1mmほどの切削になりがちです。
もうひとつは、鑿を材を削ぐように打つことです。木彫り用で斜めの刃があるイスカや剣が有効でしょう。ただわたしの手元には、中古で購入した追入れ鑿をイスカ風に刃を斜めにしたものしかなく、しかも鋼が弱く直ぐ刃こぼれして使いものにならない(情けない)。さあ、どうする??

イスカ風に仕上げた鑿

そこで平鑿を斜めにして切削してみました。理論的には叩いた鑿の力は刃のラインに直角で、鑿が板材に直角であろうが斜めであろうが関係ありません。しかし、切削幅が徐々に広がること、鑿が抵抗の少ない方に僅かずつ流れることからでしょうか。木口のこぼれは少なくなりました。削ぐような刃の動きがあるようです。
もちろん材の年輪方向も関係はしてきます。板目に鑿を入れるより柾目に鑿を入れた方が材のこぼれは少ないですから。

一度お試しあれ。作業中はこまめに刃を研ぎましょう。刃物は切れるうちに研ぐ。刃物は切れるから刃物ですから。

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