わたしは多くの木工機械を保有していません。そのため、デザインした形状にするためには鉋、鑿などを使う手加工のみの場合や、既存の機械で自作治具を用いて基本形状にしたりなどしています(多くの個人木工屋さんもそうかと⁈)。特に機械を使用する際は、その機械の基本的な構造を念頭に置くことで安全に基本形状に加工することが出来ます。
今回は、傾斜盤による曲面の斜め加工、バンドソーでの笠木加工、を取り上げます。
傾斜盤による曲面の斜め加工
曲面の斜め加工は通常の斜め加工の応用です。
例えば、丸形の30mm厚の板の周りを斜め10度加工する場合です。実際の切削は28mm以下です。
- 傾斜盤の刃を10度傾斜させます。10度傾斜で28mmの高さで何ミリ切削するかを計測しておきます。
- 一旦傾斜盤の刃を下げます。
- ガイドには補助板を取り付けておき、計測した切削量の位置にセットします。
- チップソーの頂点位置を補助板に記しておくと仕上がりも綺麗です。
- チップソーを回転させながら、刃の左右両先端が補助板に隠れる位置まで刃を出していきます。
- 端材で切削量を確認します。板厚より2〜5mm低いことが重要です。基準となる上面を切削してはいけません。
- 材を切削していきます。
切削方法は二つあります。
- 一つは加工材をガイド(補助板)に並行して送り、多角形を作る要領で切削し、最後にチップソーの頂点で材を回転させながら仕上げる方法。
- もう一つは1〜4の順に材を当て回転させて、徐々に全体の切削量を増やしていく方法。
です。
安全に、綺麗に仕上げるためには、一度にチップソーの頂点・4の位置で切削しないことです。刃に横からの負荷が掛かり思わぬ事故につながります。刃の切れに抗う作業は最も危険です。
バンドソーでの笠木加工
R形状に加工した背もたれとなる笠木の加工は、材単体で切削すると材が揺れるとともに刃にも負荷が掛かります。
安全に、綺麗に仕上げるためには加工材を板に置き、板と一緒に切削していきます。
Rが緩い場合は糸鋸盤で切削することもありますが、1000R以下だとこの方法が有効です。
どちらの加工も最終仕上げは手鉋になります。サンディングマシーンでは滑らかなRに仕上がりません。