<Sep.2018>
材料:木曽檜
仕上げ:拭漆(+松煙)<組子は木地仕上げ>
門口size:H : ≒2100mm × w : ≒1650
お寺からご注文いただいた巻障子です。
折戸で3門分の制作となります。
お寺は建造物として数百年経過しているため、曲がり歪む柱、鴨居、敷居の間に取り付けることになります。当然取り付ける巻障子は200年以上は使ってもらわねばならず、使う木曽檜の選別は四方柾を基本に木目、反りや捻れを粗削り時、木取り時、シーズニング後等何度も行います。
今回の巻障子の構成は、外枠が左右の縦桟と上下の横桟に組子の障子部分を倹飩で納めるというものです。
外枠の組みは小根付き変形二枚の止め枘で馬乗りとしています。
組子は外枠が止め枘、内側は相欠きとなります。
障子紙は半透明なものをご希望でしたが、半透明のものは塩化ビニール薄膜に和紙状のものを挟み込むもので厚さが1mm、組子へは特別な両面テープ貼りとなります。経年変化、貼り替え作業を考えると不向きと感じ、楮の因州和紙で最も透過率が良いものを選択し米糊で接着、水張りとしました。
装飾金具は、名古屋の手打ち装飾金具屋さん有限会社ノヨリにお願いしました。桟の見本を送っての特注品となります。
外枠は松煙を混ぜるなどした拭漆です。塗り職人のような黒(色)漆をわたしはしません。
埃が付かない環境を作れないこと、厚目の色漆では素材感が出ないこと、材の寸法精度が出ないこと、最終段階で生漆のみを繰り返すと光の角度によって黒地に淡く赤い漆色が醸し出され柔らかで上品な風合いになること、などが理由です。
わたしは木工屋なので、木地が何であるか全く判別できない仕上げは嫌いなのです。
折戸の両端は軸で支えられています。鴨居、敷居とも捻れており軸受そのものを作成して埋め込むことにしました。旧位置だと間違いなく戸の合わせが捻れてしまうからです。またそれに合わせると軸を削ることになり軸の強度が落ちるとともにガタつきが生じます。軸穴、軸とも設計通りのサイズとし、200年超を目指したというわけです。材は桜を使っています。
※Blog記事「巻障子」も参照してください。