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一本かんざし2

昨年のお盆過ぎ、一本かんざしを使ってもらっている方から電話。

「お盆に浴衣を着てかんざし挿して友達と出掛けたの。
髪の長い二人が『あら、素敵なかんざし。わたしも欲しいわ。』って。
作っていただける?」

「嬉しいですね。じゃあ作っておきます。10本くらい作って送ります。
その中から選んでもらってください。
全部売れたら、東京に行きますから久し振りに月島とか六本木とかで飲みましょう。」

正月に間に合わせたかったけれど、急ぎの仕事が入り2月となった。
4本は紫檀に拭漆。6本は椿に椿油。先週送付。
初回より凝った作り。

「着きましたよ。ん、素敵。わたしも1本頂こうかしら。
あっ、それでね。一人髪切っちゃたのよ。かんざし挿せないわ。」

「あらま、東京で飲むのも先送り‥‥」

 

おまけ

今冬、雪は積もるほど降らなかった。まあ、3月に掛けて降ることもあるだろうけれど。
庭の蕗の薹も雪に隠れることはなく顔を出している。
去年より2週間ほど早く春をいただこうか。蕗味噌かなぁ、やっぱり。


庭の蕗の薹


一本かんざし

ある日の会話

「今、拭漆やってるんですけど、乾いてくれなくって泣いてます」
「あら、漆やってるんですか?」
「ええ、拭漆」
「かんざし作ってくださいな」
「かんざしって、柘植(つげ)でですか?」
「櫛じゃないわよ。かんざし、一本かんざし。柘植じゃなくって構わないのよ」
「一本かんざしって、何ですか?それ」
「あら、わからない?箸よ、箸」
「はああ?箸??」
「そう、箸の一本を髪に刺すのよ」
「……もしかして日本髪結ったところに刺してるあれですか?」
「それもかんざしだけど。長い髪をクルって巻いて刺して髪を留めておくのよ」
「はああ?一本で髪留まるんですか?」
「留まるわよ。調べてごらんなさい。じゃあよろしくね」
「はぁ……」

ってことで『一本かんざし』なるものを作ることに。
どんな風に使うものかYouTubeで見てみた。
なるほど……

一本かんざし

ローズウッドに拭漆。黒檀のように真っ黒。