タグ別アーカイブ: 天秤指し

留隠し蟻組みの方が‥‥

山桑で抽斗2杯の小抽斗。
山桑の板材を3枚接ぎで本体を構成。木目がつながる天板と側板をどう組むか、天秤指し、留隠し蟻組み‥‥ んむ、天秤指しにしよう!と、機械加工と仕上げの手加工に勤しむ。

山桑の小抽斗2

山桑の色が濃くて木目方向の毛引き線がとても見にくい。特に天秤オス側の三角底辺と頂点がツライ。毛引き線に白チョークを刷っても木目と区別が付かない。遠近両用のメガネを外し裸眼で10cmくらいまで近づき鑿の刃を当てる仕上げ作業。疲れる。
天秤指しは一般的に天板と側板の組みで行い底板側は行わないが、今回は小抽斗という小物であることから底板側も天秤指しとした。
板厚が15mmと薄いため、天秤頂点の2mm幅が意外と太く見える。手鋸で1mmくらいにすれば良かったかなぁと作業中に思ったりしたけれど、対応できるほどの細い鑿が無い。
無事に組み上げる。

左の天秤指し3

山桑の色が濃いため天秤部分がはっきりしない。今回使った山桑は木目が乱れて面白味のある材を使ったこともあり、節に近い部分は木口と同じで黒っぽくなっている。オイルを塗れば少しは目立つか、と思いきや、もっと天秤が見えなくなってしまった。

教訓:木目の流れを見せたい色が濃い板材の組みは、天秤指しより留隠し蟻組みの方に分がある。

チークという材

マホガニーと並ぶ高級材のチークは、国内の家具ではあまり目にすることはありません。見掛けるのはデッキチェアくらいでしょうか。
わたしも以前デッキチェア、テーブルを制作しました。
今回、あまり目にしないこのチークについて、材のこと、加工のことなどについて触れてみたいと思います。

 

チーク

「原色インテリア木材ブック」(著者:宮本茂紀)にはこう書かれています。

チーク タイチーク。Teak
クマツヅラ科。産地:タイ、ミャンマー、インド、インドネシア。木理:やや粗。比重:0.68。径:2m。環孔材的な散孔材。心材は淡褐色〜黄褐色〜褐色、ときに黒色の縞をもつもの(縞チーク)がある。辺材はほぼ白色。光沢があって美しく、独特の芳香がある。硬い割には加工が容易で、サンダーもかけやすい。弾力があるので曲げに強い。十分に乾燥したものは狂いが少なく、虫にも強い。木目はローズウッドのような華やかさはないが飽きのこない、しっかりとした主張がある。銘木中の銘木である。
ー前ページー
‥‥家具材になるずっと以前から、船の構造材、とくに甲板用材として重宝され、世界各国で高い評価を得てきた。‥‥<中略>‥‥
 なぜチークが造船材として使われているかというと、それはチークには良質の油、木製タールが含まれているからで、これが鉄の腐食を防ぎ。釘やボルトなどを錆びにくくする。チークの木肌に触ると滑らかで柔らかい感触があり、機械油に似たような匂いがするのはそのためだ。またチークの木自体も酸化、腐食しにくく、酸や塩、水に強い。

 

チークの加工

自身で加工すると木材ブックに書かれている内容に肯けます。木工屋ですので実際に加工した際に感じた点を書きます。参考になれば幸いです。 続きを読む チークという材

たまには自分用に

コーヒーのペーパーフィルタ・ケースを作った。たまには自分用も良いだろう。もちろん端材で本体は楢、蓋は黒柿。ミニ蝶番は市販の真鍮製。仕上げはオイルフィニッシュ。
あんまり手を加えると自分で使わず売り物にしちゃおう、などと思ってしまうので手を加えるのはほどほどにした。
当初は単純な板組みで、と思っていたが天秤指しにすることにした。天秤の二等辺三角形の大きさは高さ10mm、上≒1mm、下≒6mm、傾斜角75°で手持ちの手鋸と鑿の最小サイズ。毛引き線はシラガキで表裏しっかり引いてみた。売り物の時は0,3mmのシャープペンシルで引き、加工後毛引き線を消すのだけれど、シラガキで引いた時の鑿の当たり具合や完成後に毛引き線が残った雰囲気も感じたかった。
表裏から掘る鑿の刃先の当たり具合や精度は、当て木を使うにしろシャープペンシルより格段に良い(当然ですが)。毛引き線が残った雰囲気は、なんとなく職人らしい(わたしも職人の端っこにいるのですが‥‥)作り。それもまた楽し。

 

おまけ

今シーズン、今日2月9日の寒波は4回目。年末の1回目の重たいドカ雪で庭木がバキバキ折れた。3回目の後、折れた庭木を整理して太いものは薪にした。枝葉は春になったら始末する。
covid-19(新型コロナ)も第4波は来るだろう。イヤだが‥‥

1回目の寒波

1回目の寒波

 

4回目の寒波(手前は1回目の寒波で折れた枝葉)

 

天秤指しの練習

小粋な天秤指しを以前からやろうと思っていたのですが、使う場面もなかったことから手を出さずにいました。
が、拝読している宮本家具工房の月間記事の9月と10月に「ダブテイル」が書かれていて、記事の中にある『二等辺三角形の窓を開けたガイド付き定規』が目に止まり、やってみるかな、となりました。使う材は米ヒバの2枚接ぎです。端材の中から加工し易い材を選びました。
先ずは、記事に書かれている手順に沿って従順に進めてみることにします。初っ端から自身の経験を入れて作業するより、書かれてある手順で進めることで未経験な部分、自身の改善すべき点も見え、次のステップに踏み出せると思っているからです。ただ、10月の記事掲載前に作業が終わってしまい、ピン側の作業は自分勝手に進めてしまいましたが‥‥まっ、良いか。

天秤指しの練習

天秤指しの練習

二等辺三角形の窓を開けたガイド付き定規

この定規を作る前に、「木工の継手と仕口 増補版」(鳥海義之助著 理工学社)に書かれている「蟻型傾斜角とその用途」に目を通しました。縦10に対し、3.5は70度、3は75度、2は80度となっています。正確な角度は、3.5は70.71度、3は73.30度、2は78.69度となるわけですが、木工作業では板厚や板幅を基準値1として寸法採りをすることが基本でもあり、正確な70度、75度、80度より、10:3.5、10:3、10:2の方が合理的と考えます。ただルーターや傾斜盤などの機械による加工では70度、75度、80度の方が適しているでしょう。 続きを読む 天秤指しの練習