当初は1枚のトチから全ての部材を木取りし制作する計画だったのですが、脚部の設計ミスで破綻、脚部はトネリコで再制作することに。トチは天板と抽斗の前板と側板での使用となりました。トチのみならば軽い感じでおさまったのですが、重いトネリコでガッシリしたサイドテーブルとなりました。トネリコは白っぽいのでトチと違和感はあまり感じません。全体が縦長で天板下で抽斗の出し入れがあるので脚部は重量があったほうが良いとも言えます。
デザイン
天板は正方形の四辺にR付けを施す形状、脚との組みは三方留め風とするのですが、<局面>となるR付けの天板の木口と木端、<平面>となる斜めに切り込んだ脚との接続ラインは、Rや枘などの基本的な加工を終えてから違和感の出ないツナギを考えることにします。
抽斗は、前後、左右どちらの方向からも出し入れができるように工夫しています。
構造としては、抽斗の側板の摺りガイドを側板下部の内側に設定します。つまり側板内寸の正方形が抽斗のガイドとなるわけです。前板はこのガイドの上を移動するため底上げした状態になります。このため摺り桟と前板との隙間を極力抑える必要があります。今回はガイド高さを3mmとしました。
制作
全体のサイズは高さが550mm、幅と奥行きが400mmで設定しています。天板は四辺にR付けを施すため各辺はプラス20mmとなります。440mm方形の天板裏には400mm方形を墨付けし天板の加工基準ラインとします。
天板の厚みは40mm、脚は40mm角の設定です。三方留め風とするため接面は54.7度のカットとなります。脚のカットには90度の溝カットした当て木が重宝します。
横桟は抽斗の摺りになるため組んだ後の目違いを抑えるために小根付きの枘とし、横桟同士の接面は面落ちにしています。目違い払いがやりにくい箇所は組む前に対処しておくと効率が良いですし仕上がりも綺麗です。
摺りガイドは後付けです。
抽斗は四方から見えるため側板も前板と同じトチを使い、組みも意匠的に包み蟻としました。つまみは紫檀で上部から蟻溝に差し込むようにしています。引き出した際にちょっと小粋に見えるアクセントです。
おまけ
近くの銀杏は黄金色、家の玄関先にはずいぶん遅れて咲いたヤマユリ。霙混じりの雨と北風で銀杏は葉を半分ほど落とし、ユリは寒さで花が長持ちしている。
難しい仕口ですね。
私にはとてもとても・・・
トネリコ、栃とフィッティングしてますよ。
はざ掛け用に畦道にこのトネリコを植えているところを北陸地方でよく見掛けましたが、現在は機械乾燥が一般的になっていますよね。
その後、このトネリコはどうされているんでしょうかね。
はざ掛け米の美味しさは格別です。
こんにちは。
仕口、それほど難しいとは‥‥しっかりした三方留めの方が難しいです。
必要なところに必要な枘形状を、と思っているのでこうなりました。
少々厄介な作業も経験していると、逃げや遊びの必要箇所が見えて来ますし、設計の広がりが出て来ますね。
天板のR付けは「太鼓に張らす」と木工の言語体系では言うとのこと。ありがとうございます。勉強になります。
トネリコがはざ掛け用に使われていたとは知りませんでした。実家の方(石川県羽咋市)では真っ直ぐな杉を立て孟宗竹を5段ほど横に渡すものでした。呼称は「はぞ」でした。幼い頃、姉と上から2段目に座り夕焼けと赤トンボを見ていたことを思い出しました。
お米も木も機械乾燥が主流、味も質も寂しい時代になりました。
>トネリコがはざ掛け用に使われていたとは…
そうでしたか。
はざ木としての条件(堅牢性、通直性)に叶う材種がトネリコということになるのですが、
越後地方特有のものなのでしょうかね。
http://www.niigata-u.com/files/ngt2009d/090509g1.html
http://seseragi.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_5c95.html
家具材としては、椅子の細いスピンドルに用いる材種には、その特性からトネリコが良いとされていますね。
えっ!植樹された生木なんですか!
実家の方は毎回組み立てていました。台風の時に倒れることもあり、その時期は祖父、父とも気が張っていましたね。
新潟方面はとんでもない強風の地域ですから、強靭な生木でないと持たないからなのでしょう。組み立ても強風の中でやれないですし。
昨年、新潟へ行った時、強風に煽られビビリっ放しでした。生木、実感として納得です。
トネリコ、強靭で美しい。けれど、無茶重たい。鉋での逆目ぼれが出やすいので要注意、ですね。