タグ別アーカイブ: 抽斗

小振りな机

小机1

天板の幅が900mm、奥行きが450mmの小振りな机です。一般的なサイズの半分程度の大きさになります。
材は天板と抽斗前板にセンダン、脚部はケヤキを使用しています。全てケヤキで、とも考えたのですが重すぎる。
センダンはケヤキの模擬材として使われることもあるように木目は粗いものの良く似ており、色合いもケヤキの赤に近い感じですがどちらかというとマホガニーに近いです。比重も軽く鉋の当たりや艶はキハダに良く似ています。

上から見た小机

 

デザインと構造

サイズを小さくしたため、足回りに気を配ったデザインとしました。ひとつは前脚を無くしたこと、もうひとつは左右後脚の揺れを抑える横桟を下部に設けないこと、などです。
天板の幅が900mmですと左右の脚の内寸が800mmを切り、体を左右に振ったりすれば前脚に膝が当たることが懸念されます。下部への横桟についてはフットレストとして有効かとも思ったのですが奥行きが浅いこともあり邪魔になるだろう、と排したわけです。 続きを読む 小振りな机

トチのサイドテーブル

当初は1枚のトチから全ての部材を木取りし制作する計画だったのですが、脚部の設計ミスで破綻、脚部はトネリコで再制作することに。トチは天板と抽斗の前板と側板での使用となりました。トチのみならば軽い感じでおさまったのですが、重いトネリコでガッシリしたサイドテーブルとなりました。トネリコは白っぽいのでトチと違和感はあまり感じません。全体が縦長で天板下で抽斗の出し入れがあるので脚部は重量があったほうが良いとも言えます。

トチのサイドテーブル

 

デザイン

天板は正方形の四辺にR付けを施す形状、脚との組みは三方留め風とするのですが、<局面>となるR付けの天板の木口と木端、<平面>となる斜めに切り込んだ脚との接続ラインは、Rや枘などの基本的な加工を終えてから違和感の出ないツナギを考えることにします。

抽斗は、前後、左右どちらの方向からも出し入れができるように工夫しています。
構造としては、抽斗の側板の摺りガイドを側板下部の内側に設定します。つまり側板内寸の正方形が抽斗のガイドとなるわけです。前板はこのガイドの上を移動するため底上げした状態になります。このため摺り桟と前板との隙間を極力抑える必要があります。今回はガイド高さを3mmとしました。

制作

全体のサイズは高さが550mm、幅と奥行きが400mmで設定しています。天板は四辺にR付けを施すため各辺はプラス20mmとなります。440mm方形の天板裏には400mm方形を墨付けし天板の加工基準ラインとします。

天板の厚みは40mm、脚は40mm角の設定です。三方留め風とするため接面は54.7度のカットとなります。脚のカットには90度の溝カットした当て木が重宝します。
横桟は抽斗の摺りになるため組んだ後の目違いを抑えるために小根付きの枘とし、横桟同士の接面は面落ちにしています。目違い払いがやりにくい箇所は組む前に対処しておくと効率が良いですし仕上がりも綺麗です。
摺りガイドは後付けです。

抽斗は四方から見えるため側板も前板と同じトチを使い、組みも意匠的に包み蟻としました。つまみは紫檀で上部から蟻溝に差し込むようにしています。引き出した際にちょっと小粋に見えるアクセントです。

 

おまけ

近くの銀杏は黄金色、家の玄関先にはずいぶん遅れて咲いたヤマユリ。霙混じりの雨と北風で銀杏は葉を半分ほど落とし、ユリは寒さで花が長持ちしている。

木工作業の工夫8(パーツごとのオイルフィニッシュ)

オイルフィニッシュは、組み立て後に行う、と大垣技能専門校時代に教わりました。抽斗も組み立て後に前板部分にテーピングして行っていました。
木工屋になった当初、教わった方法でやっていたのですが、テーピングしていても側板や底板ににオイルが滲み、率直に「綺麗じゃない」気に入らないのです。テーピングに時間が掛かり、塗る時にも気を遣う。そこでしばらくすると抽斗の前板は組む前にオイルフィニッシュするようになりました。前板と側板との組みが手の込んだ蟻組などではなくシンプルであれば、テーピングしたものより圧倒的に綺麗です。

抽斗前板のオイルフィニッシュ

また、木工屋になって直ぐに拭漆仕上げの厨子の制作依頼があり、拭漆の場合は組む前に部材ごとに仕上げることを学びました。10回程度繰り返し塗り拭き取りを繰り返す拭漆では組み箇所に漆が溜まる、塗り拭き取りが綺麗に行えないなどが理由です。
そこで最近では、オイルフィニッシュでも最終組み立てを行う前、パーツごとに行うことが多くなりました。勿論、組んで目違い払いをする箇所はそれを済ませてからですが、基本的に部材ごとに済ませてしまいます。拭漆の経験があることから違和感はありません。また、拭漆の回数と比べれば4分の1ですから苦にはなりません。

 

パーツごとのオイルフィニッシュ

パーツごとのオイルフィニッシュのメリットを挙げてみると

  • 塗り、拭き取りが容易
  • 塗り、拭き取りのムラが出ない
  • 細部まで出来る(組み立て後だと奥まで塗れない)
  • 箱物で外、内とも仕上げられた丁寧さが出る
  • etc.

パーツごとのオイルフィニッシュ

接着剤を塗布する箇所はテーピングしておけば良いし、テーピングを忘れていれば接着面を残して周りをテーピングして軽めにサンディングすれば良い。また、オイルの効能で溢れた接着剤も材への浸透は少なく、拭き取りも容易で綺麗です。
材に染み込んだ接着剤でオイルが浸透せず拭き取りミス!といったこともなくなります。これも拭漆の経験によるものです。

また、木のかばんで書いたように、黒檀や紫檀などの暗色が強い材と明色の材とを組むパーツは個別にオイルフィニッシュすべきです。暗色材の研磨粉が明色材の木目に入り汚れとなり除去できません。暗色材は組む前に必ず表面処理しましょう。

拭漆作業にはオイルフィニッシュ作業に活かせる手法がいくつもあります。
拭漆を未経験の方も拭漆の世界へ一度! なんちゃって!

やっぱり抽斗は桐

長梅雨は辛かった!これからの猛暑も辛そうだけれど……

湿度90%前後の日々が続き、自分用に作った書類整理用の小抽斗は抽斗が膨張、ガッツンガッツンに締まって引き出せなくなってしまった。コストを抑えるために抽斗はポプラで制作。センターガイド方式としたため本体とはゆとりを持たせてつもり。作業場と家とは隣り合わせているので制作環境と使用環境は大きく変わらないはず、だった。
なんとか全てを引き出して風通しの良いところで乾燥へ。落ち着いたら鉋を掛けてスカスカにしよう!
ポプラで抽斗はアカン!

 

桐で作った抽斗は前板の入りが僅かにキツイもののスムーズに引き出せる。
やっぱり抽斗は桐!

木工を始めた当初は桂を使っていたけれど、現在桂は入手も難しく高額な材となってしまった。桂以降は紆余曲折があったものの最終的には桐に落ち着いた。十分に雨ざらししてアクを抜きながら数年自然乾燥した国産桐の伸縮率は非常に小さい。そのため寸法精度を曖昧にすることもない。

 

おまけ

梅雨が明けて、炎天下になる前に薪用に丸太の切断。それでも大汗だわ!町内で伐採した廃棄する木を貰ってきた。作業場用だから雑木で十分。水分が多く柔らかくて割れない。1ヶ月以上丸太のまんまで積んで乾燥、表面が硬くなったら鋸目で割る。

薪用に丸太切り

書類整理用の小抽斗

A4書類、名刺等の整理用小抽斗の制作です。

抽斗はあまり大振りだと整理したようであっても実は整理できていないものです。小振りである程度の数があると頭の記憶装置にも優しいです。
材はマホガニー、本体はダークに着色しましたが抽斗前板は無着色で明るめとし、抽斗部分を側から少し奥に入れ浮き出ないようにしています。つまみも本紫檀の削り出しで小さくし上品な仕上がりとしました。
側の見付けは蒲鉾のR加工、前板にも丸面加工を施しています。
7杯の抽斗の上段のみ外寸法高さは75mm、他は70mmとしています。上段は名刺整理ボックスを収納できるように5mm深くしたわけです。天板の庇があるため大きさの違和感は出ません。7杯ともスライドはセンターガイド方式としています。
側の縦と横桟は馬乗り枘で組んでいます。天板はフレーム型天板で鏡部分の伸縮が気にならないように処理しています。
名刺収納boxは、同じくマホガニーで四方をあられ組としています。

おまけ

21日は大雨の予報、雨が降る前にに家の周辺の草刈りです。裏庭が広いのはとても気持ちが良いのですが雑草がスゴイ!年3回の草刈りを計画しているものの、好天が続き一面40cmくらいにまで伸びすでに2回目の草刈りとなりました。

畑にすれば?と言われるのですが石だらけであり水はけが悪く、ただ地があるだけ。お隣さんから「使わないなら、(雑草)放っておけば?」と言われても草ボウボウがダメな性格です。