部材の幅と厚みを同一サイズとしての椅子制作です。
今まで制作してきた椅子は、座面には座ぐり、笠木と背もたれにはR加工、脚部はテーパー加工などを施して来ました。これらを否定する気はないのですが、初心に還ると言うか限定された部材を使うことで、これらの加工以前に重点を置くべきことに集中したかったわけです。
重点を置いた点は
- 座の荷重点
- 背もたれ荷重点
- 脚部の前後左右荷重
- 枘組の構造
- 各部材の必要寸法
- 組み角度
等々、R加工以前に押さえておかなければならないことはたくさんあります。
今まで蔑ろにしてきたわけではありませんが、希薄だった点が幾つか浮き彫りになります。
今回の椅子は、座高は低くゆったり座るためにデザインしたローチェアで、ダイニングチェアと比較すると座面角度も大きく、荷重点が深部になるために部材点数も増えます。
使用した材のサイズは、幅:40mm、厚み:20mmで、座板と背板(背縦桟)は厚み:12mmとしています。枘加工で使用した角鑿は9mmのみでセンター合わせが基本。強度面ではギリギリかもしれません。
これを基本形とすることで多様なデザインを展開することが出来ますし、枘加工も合理的な統一を図ることができます。
また、真っ直ぐな材を使用したことで荷重点が明確になりますし、必要なRも出て来ます。ただ注意しなければならないのは、座ぐりやR加工を施すと座面高や背もたれの感触、荷重点の位置が変わります。このため、真っ直ぐな材とカラダとの接する箇所は基本ライン上の点として位置付けることが重要となります。
今まで、これらのことを総合的にまとめてデザイン、制作してきたのですが、一歩退いたところでのデザイン、制作は結構割り切ることに苦労します。木取り段階で幾度もR加工が頭をもたげてきます。
おまけ
斜めになる枘、枘の小根が入る箇所は欠けやすいため、組む前に浸透性の高い接着剤で強化しておきます。