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ヒノキの日用品

ヒノキを使って日用品3種を制作。日頃「あれば良いなぁ」と思っていたものです。レシピスタンド、バスタオル掛け、布団掛け、どれもキャスター付きです。

レシピスタンド

料理の材料、量、調味料は基本的にテキトーです。が、たまに使い慣れていない材料、調味料や入れるタイミングなどネットのレシピを参考にすることがあります。ネットでいろいろな調理法を見ていると、なるほど!そういう調理法があったか!と思うことがしばしばあります。
今までそういったレシピはプリントアウトして調理器具の隣に置きチラ見していたのですが、レシピが濡れる汚れる、近眼メガネを外したり掛けたり、何かと落ち着かない。そこで出来るだけシンプルで軽いスタンドを作ることに。譜面台、書見台を簡素化させたイメージです。
サイズは、高さ:1250mm、幅;450、奥行き;300。レシピを置く台のサイズはA4クリアファイルに合わせて450 × 320で角度調整フリーです。レシピの位置が鍋などの調理器具を見る目線角度とほぼ同じになるように設定できます。

 

バスタオル掛け

今まで使っていた市販のバスタオル掛けが破損したための更新です。
サイズは、高さ:1050mm、幅:760、奥行き:300。大き過ぎず、小さ過ぎずのサイズです。タオルを掛けるスライドタイプのステンレスパイプは5本使っています。脱衣所の壁にタオル掛けが取り付けてあったりしますが、移動できるタイプの方がタオルも乾き良いです。

バスタオル掛け

 

布団掛け

布団や毛布を寝室から物干し場に持ち出すのは億劫なもの。寝室の窓から差し込む陽光で干せれば天気が良ければ毎日だって苦痛じゃない。
サイズは、高さ:1500mm、幅;1100、奥行き;450。上の布団を掛ける丸棒は18mm径と細いですが上下2本使いとしセンターを丸棒で固定させることで十分な強度が保証されます。太めの丸棒1本使いより細め2本の方が丸棒の曲がりは抑えられます。
また下の横桟を500mmの高さに設定したことで洋服掛けのスペースにもなります。

布団掛け

3品とも材の厚みが15mmとしたため、枘の組み強度を確保するため通し枘で紫檀の楔を打ち込んでいます。

通し枘と楔

手加工を主とした肘掛け椅子

大垣技能専門校時代にデザインした椅子を作っておきたいなぁと数年に一度思うのでした。大きな材が必要になること、構造的に見直す箇所が多くあることなどからなかなか踏み出せませんでした。2年前にあまり質が良いとは言えない栃の厚材を入手していたこともあり取り掛かることにしました。

トチ肘掛け椅子全体

Shadeでの3D画像の作成

大垣技専時代、同級生(わたしよりずいぶん若い!)から「Shade」というソフトで作成した画像を見せられました。いやいや驚きました!自宅PCで3D画像の作成が出来る!しかも大垣技専に通っているためソフト購入も学生割引となる!確か3〜4割引で3万5,000円程度だったと記憶しています。即買いです。
MacでIllustrator、Photoshopを長く使っていたので大きな抵抗もなく入ることが出来ました。3D原案

Shade Personal R5の特徴

  • 画像を360度見ることができる
  • 光源の数、角度、光量の設定ができる
  • 抽斗を入力しておけば、出し入れできる
  • 材の選択が可能(木は数種類)
  • etc.

ただ不便な点もありました。
数値入力での画像作成になるので、各部材ごとに詳細情報入力が必要になるために非常に時間を要する。にも拘らず入力した数値が画像上に表すことが出来ない。ということが残念でした。(バージョンアップで解決されたと聞きます)ですから、画像として見たり見せたりするには良いツールですが、制作側の立場からは余り実用的ではありませんでした。また、家具職人さんから画像依頼があって作成して渡したところ、「画像が正確でリアルすぎると、納品した際に現物とのギャップが出てしまう。モノクロで背景なしにして欲しい」とのこと。少しばかりショックを受けながらも、なるほど、と思ったこともありました。
結局、わたしは2、3年使ったもののバージョンアップすることなく使わなくなりました。 続きを読む 手加工を主とした肘掛け椅子

木目に倣うデザイン<テーブル>

15年ほど前に岐阜・各務原の材木市で購入したトチ板を天板にして、極端に曲がっているトチを脚部に使用するダイニングテーブルの制作です。

 

デザイン

まず材がそれぞれどのような材であるかを確認します。粗木取りの部材
天板は長さが2100mm、幅が700〜850mm、厚みが45mmで挽かれています。購入後直ぐに虫が付きやすい白太部分はある程度落としていたので900mmほどの幅はこの程度になっています。トチ特有のキラキラ、杢杢感は強くありません。また、木表側は白太部分が多いことから今回は木裏使いとなります。45mm厚で挽かれていた材は自然乾燥で反りと捻れが出ていて仕上がりは40mmで落ち着きそうです。サイズは1800mm × 700〜850 × t:40といったところでしょう。
脚部の曲がっている材は、厚みが60mmで挽かれています。反りと捻れを落とせば55mmは取れます。Rは内径と外径の違いは勿論ですが2枚それぞれが違います。そこで木目に倣い左右それぞれの脚とスリ脚をアンシンメトリーにすることにします。

続きを読む 木目に倣うデザイン<テーブル>

斜め四方胴付き枘でアタマの中が……

いつもは材のサイズからデザインや設計を展開していくのですが、今回は自由度を高め初期段階のデザインを重視してみました。

今回は斜め四方胴付き枘の加工を少し。

角鑿盤での斜め加工

経験豊富な木工屋さんは治具作りも上手ですね。以下は、治具に馴染みの薄い方に。

材のサイズからの展開では治具をあまり使うことはなく、使っても従来から使用している治具で対処できるのですが、自由度を高めると新たに治具を制作しなければなりません。
電動工具も高度な加工が出来るようになってきており、その精度も素晴らしいものがあり治具を必要としないで加工できる場面もたくさんあるようです。わたしはそれを全く否定しません。あればあったで重宝すると思っています。単に購入資金が無いだけ……

ただ、治具を制作する作業は家具設計同様にそれなりにアタマを使います。家具設計では材の伸縮や反り、強度確保などを考えるのと同じように、治具制作では既存の機械性能と墨付けした材とのマッチングとを考えます。例えば角鑿盤では鑿は垂直、テーブルは平行に動くわけで、斜めに彫るためにはテーブルを傾けるか材を傾けなければなりません。鑿は垂直に材を彫るのでその力点を考えて材がズレないように固定する治具が必要となるわけです。また治具があれば同じ加工が繰り返し出来ます。

シンプルな角鑿盤の治具

今回、角鑿盤での枘穴加工は角の二方に違う角度で彫ります。 続きを読む 斜め四方胴付き枘でアタマの中が……

巻障子

3月父の3回忌の法要時、実家でお世話になっている石川のお寺さんから「巻障子を作ってもらえないか?」と相談を受けました。
「マキショウジ?それって何ですか?」
「本尊の前にある折戸。昨年亡くなった母親の寄進の品としたい。」
なるほど「とりあえず現状を拝見させてください。」

依頼があれば何でも作るのが木工屋みしょうです。(赤字になる依頼は断っていますが)
日を改めて採寸することにしました。
1度目は現状の実寸計測。自宅に帰って外寸法をメインに作図して仮の外枠を作成。2度目は仮外枠を携えそれを基準に問題点等を洗い出し、希望事項を加味し自宅で最終図面を作成、仕上げ等も含めて結論出し。

一般的に建具屋さんは、現物を持って現場調整、と聞いているのですが、今回は遠方で何度も行けない、精度のない枠に納める作業となるため、現場合わせだと仕上げた巻障子を削り倒す可能性がある、などから現場仕事は両端を支える軸部分のみとしました。そうすることで巻障子を全く傷付けることなく納めることが出来ます。

完成した巻障子

完成した巻障子(正面)

巻障子の制作

お寺は建造物として数百年経過しているわけで、曲がり歪む柱、鴨居、敷居の間に取り付けることになります。当然取り付ける巻障子は200年以上は使ってもらわねばならず、使う木曽檜の選別は四方柾を基本に木目、反りや捻れを粗削り時、木取り時、シーズニング後等何度も行います。そのため、完成段階の3割ほど多めに加工し始めます。もちろん加工ミス分も含めてですが。 続きを読む 巻障子