鉋台の刃口埋め

鉋に関する先輩お二人のブログ

木工の大先輩であるお二人、”工房 悠”を主催されている杉山さんと、”木工房 ろくたる”を主催されている服部さんが、偶然なのでしょうが時をほぼ同じくして『鉋』についてBlogで論じられ、拝読していました。

杉山さんは、1月より工房通信 悠悠に「鉋掛けという行程について」(番外編を含み7回)というタイトルで、鉋の有能性、木を扱う職能について展開し、鉋掛けという作業の意味付けを論じられています。

服部さんは、2月より工房日誌に「鉋台は、「油台」にしないほうが良い」(1〜6)、「鉋台の刃口埋め」(1〜)というタイトルで、鉋の仕立てなど技術的な面から論考されています。

お二人のBlogを拝読し、自身が持つ鉋は「道具として仕込まれているのか!?」と思い、改めて鉋の調整をすることにしました。
刃口埋めについては、10年ほど前、当時良く使った反り台鉋、南京鉋など何台かに施したっきりになっていました。非常に恥ずかしいことなのですが、最も出番が多い寸六の平台鉋、寸八の長台鉋は購入時に刃口埋めがされていたものの刃口調整をしっかり行っておらず、他の平台はほとんど使わないことから刃口調整、刃口埋めは行っていませんでした。刃研ぎで誤魔化していたということです。

刃口埋めに取り掛かる

平台の寸四の荒仕込、寸六の中仕込、寸八の仕上げから刃口埋めを施して調整していくことにしました。
自己流ですが、寸六の中仕込の刃口埋めを行程順に書いていきます。
刃口埋めはブビンガを使います。手持ちの黒檀は幅が足りず、本紫檀はブビンガより柔らかかったからです。ちなみにこのブビンガは、こちらに引越す前”木工房またに”の若森さんと二人で服部さんの仕事を手伝った際に出た端材です。若森さんと「もう、ブビンガは見たくない!」いうくらい加工したことが思い出されます。

  1. 先ず、鉋台の断面と刃口埋めをする位置を図面に書き出します。
    刃口埋めの材は厚みを10mm、鉋刃の削り幅を基準に木端の角度は10度としました。傾斜角は鉋台に合わせて54度にしておきます。
  2. 加工する鉋台にしらがきで毛引きます。見づらいのでチョークでなぞっておきます。
  3. サイドを見ながら平行になるように鑿を入れていきます。加工前の角度に合わせておけば基準があるため加工がし易いです。
  4. 蟻加工は、蟻桟のようなテーパーを掛けません。次回の刃口調整で刃口埋めを押し出す必要が出て来ること、台に負担が掛かる、などの理由からです。木槌でトントンと入る嵌まり具合にしています。
  5. 仮入れして、鉋刃を刃口埋めに当たるまで入れて刃口埋めにカット部分となる印を付けます。
  6. 刃口埋めを一旦抜いて刃口となる部分をカットします。
  7. 木端部分に数滴接着剤を落として、下端面にコンマ数ミリ出します。ボンドより膠(にかわ)を使った方が良いように思います。材を傷めずにコツンと外れます(下記に失敗談)。
  8. 下端調整を行います。
  9. 鉋刃と裏金の当たり具合、削り具合などを確認します。

以上が、自己流の刃口埋めです。
服部さんが「鉋台の刃口埋め」で番号をふっていることから、今後しっかりとした刃口埋めの解説をされていくと思っています。その際は自己流に修正を加えて行きます。

失敗した!

購入時に刃口埋めがされていた寸六の鉋台の刃口調整をしようと、刃口埋めをコンコン叩いたのですが出て来ない。下端側からも当て木を作り叩いても外れない。そんな馬鹿な!と思いつつ、鉋台を壊したくないので、服部さんが考案された『簡便刃口埋め法』をすることにしました。
トリマで8mm粗彫りして仕上げに鑿でトントン‥‥

その時、突然刃口埋めが外れた!なんてこったい!刃口埋めを外してカットして再セッティング。機能的には問題ないものの、格好ワルゥ‥‥もったいない‥‥

長台鉋においてはボルト締めで、調整は極めて楽。今度はそうしようかなぁなどと思ったりする‥‥

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です