曲げ加工の失敗談

材の反り修正でアイロンは何度も使ってきました。今回、椅子の背板で蒸しての曲げ加工を試してみました。

今まで背板の曲面は型板を頼りにバンドソーで粗木取りし、反り台鉋で削り出していました。が、厚みの均一性と作業効率が今一歩。
というわけで、均一の厚みで枘(男木)加工を済ませて曲げ加工をしてみようと。
材を濡らし水を含ませた当て布の上をスチームアイロン、というやり方は反り修正と変わらず面白味がない、新しく蒸して曲げようと思ったわけです。

削り出しの背板

D.チェア(山桜)2

曲げ加工の背板

曲げ加工の背板

 

蒸して曲げる

蒸して曲げる方法は一般的な曲木の方法ですが、有効な設備は持ち合わせていません。そこで思い立ったのが薪ストーブのヤカン。ヤカンに煙突を立ててその中に材をぶら下げて蒸そう!
上手く出来れば次回からこれで行こう!などと。

用意したもの

  • 背板(長さ:200mm、厚み:12mm、幅:20mmと50mm)
  • 煙突<ホームセンターのステンレス製>(長さ:900mm、径:120mm)
  • バスタオル<煙突の保温>
  • タコ紐<材をぶら下げる>
  • S字金具<タコ紐を引っかける>

計画では6時間くらい沸騰したヤカンで蒸せばイケるだろう。1,000円程度の安上がり蒸し器。

夕方までストーブで蒸していきます。

曲面の型板は、ギタースタンド2の端材がちょうど良いR。

端材による型板

蒸し上がったであろう材を取り出し熱いうちに型板にのせてクランプで締めます。

バキッ! アッ!折れた!!

折れた背板

予備に作っておいて良かったぁ。

このままの状態で4日ほど放置して乾燥するのを待ちます。

 

結局、アイロンに

4日後、クランプを外します。曲がりが足りない。蒸している温度が不十分だったようですが、この簡易な煙突蒸し器では限界です。熱伝導率が高い薄いステンレス煙突ですから低温の外気の影響が大きかったのでしょう。
結局、アイロンで直接加熱してやり直すこととなりました。

 

 

課題

1.煙突内の温度保持
ステンレスの煙突は100mm径もあるので、120mm径の中に100mm径を入れた二重構造にして、その隙間に檜の白太を差し込んで断熱効果を上げてみよう。
ただ、この構造でも長さが900mm、果たして蒸し上がるだろうか?

2.曲げ戻り
型に押さえ込み十分に乾燥させたと思っていても、クランプを外した際には曲げ戻りが生じるのでどれくらいの固定日数が必要になるのだろうか?長期間固定するに越したことはないけれど短期間が嬉しい。
また、経年変化による曲げ戻りはどうなんだろうか?とりわけ曲げ木を使用するであろう椅子の部材は、多方向から組み上げる箱物と違い1、2方向からの組みとなるため反りや曲げ戻りが生じやすいです。長く完成時点の形状を保持してもらわないと困ります。

3.材を一晩お湯に
今回は材をお湯に2時間ほど沈めてから作業したのですが、時間が短かったようです。次回は一晩浸けてからやってみよう。本心は一晩煮ていたい‥‥

新しい課題が出来ることは嬉しいものです。ボケ防止‥‥

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