欅のテーブル天板(一間超)、反りも小さく捻れもない非常におとなしい状態。
天然乾燥であるため鉋の通りも良さそう。
今回は電動鉋を使わずに手鉋で仕上げることに。まあ、自らに課した技能試験と言ったところでしょうか。「これくらいのこと手鉋でやれなくて木工屋と言うな!」と自身に言い聞かせるのです。
製材時の木口を落とし、千切りを入れて面出しという手順です。
面出しの前に千切りを入れるのは、面出し中に割れの広がり、割れから生じる捻れ防止です。材を安定させて面出しです。
千切り
千切りには鼓形やアレイ形などがありますが、今回は鼓形で木口に入れます。
表面、裏面に入れることもありますが、今回の欅板は表面に割れがほとんど出ていないため木口としています。材は硬質のウェンジで35mm埋め込みます。表面、裏面に入れる場合は板厚の2/3くらいは入れないと千切りの効果は薄いでしょう。ワッペンを貼ったような10mm厚程度の千切りは全く効果が期待できません。
手順は
- 千切りの墨付け(墨線内側が仕上げ)
- トリマーで粗掘り。3mm程度ずつ徐々に深く掘っていきます。ビットの6mm軸6mm刃径の刃長はは20mmしかありませんが、それ以上深く掘っても軸がベアリングの代わりを果たしてくれます。
- トリマーで掘り終えて鑿作業。墨線内側を掘り進めます。
- 千切りの入り具合を確かめます。木口に入れる場合、枘のように若干キツ目にすると材が広がり割れが生じることがあるため玄翁や木槌で軽く叩いて入って行く感じに調整します。
- 千切り穴に接着剤を塗布して千切りを入れます。
- 鉋で仕上げて終了。
面出し
一枚板の場合、乾燥した板材は木表が凹面、木裏が凸面となっているのが一般的です。木表側の方が収縮率が高いからで、テーブル天板などで表使いをするのは経年変化での材の表裏の収縮率を考慮したものと捉えています。
面出しは電動鉋であろうと手鉋であろうと手順は変わりません。鉋台の下端調整と同様に2本の定規を縦、横、斜めに当て確認しながら削り進めます。が、電動鉋は削り過ぎることがあります(電動鉋が上手に使いこなせないだけのわたし)。手鉋の方が厚みを確保し易いです。
面出しは凸面の木裏側から進めます。その方が削る際、材が安定します。
以下、写真で面出しの様子。面出しは荒削り後長台鉋。長台鉋でないと上手く仕上げられませんね。
面出しを終えて「まだ、しばらくは木工屋やれそう」などと‥‥。