脚物、箱物を問わず新しくデザインを考える時、「ここはこれくらいの曲線で!」とか「ここはも少し細くすればスマートな外観になる!」など今までの経験則めいたものが頭をもたげます。が、出来るだけそれらを抑えてオーソドックスな小椅子をデザインしてみます。
こういった作業は構造物の基本を再確認する上で重要だと思っています。とりわけ椅子のようにカラダに直接触れるものは、臀部と太腿が接する座板、もたれる背板と笠木、足つき感覚などをしっかり押さえることや、強度を確保する各部材の組み方もおろそかにすることは出来ません。今回の2脚の小椅子、「ここ、Rが良いじゃん!!」などという誘惑と闘いながらわたしなりに基本を再確認してみました。
それぞれの特徴
type A
- 座板裏の前後に蟻桟
- 後脚は背もたれ中間まで斜めに直線、中折れにして背もたれ
- 背もたれ、笠木は横使い
- 脚部固定に前後左右に横桟
- 左右の横桟は脚前後の幅が違うため胴付きは2方向に斜め
type B
- 座板裏の前側に蟻桟、幅広として前脚固定の横桟を兼ねる
- 後脚は座板と前後桟から中折れ
- 背もたれは曲面の笠木に直線
- 脚部固定の前後左右の横桟は座板裏に密着
- 前横桟と側横桟は蟻組み
など。背中の当たりはtype Aの横使いよりtype Bの縦使いの方がわたしはしっくりきますが、使い手の好みと思います。
今後の椅子作りで全体の形状デザインが変わっても大きな変更をしないのは、座板への蟻桟でしょうか。また、前脚上部を座板の欠き取りに収める手法は結構気に入っています。蟻桟の高さを幅広にして左右の脚を保持させることで座板下部をすっきりさせることが出来ます。
おまけ
2台目の大きめの四方反り鉋、座刳りで快適です!!!作って良かった!!!