ルーターテーブルの制作

1年程前、木工仲間と電話で話していて
「貰い受けたマキタのルーター、未使用状態で持っているけど使うんだったらあげるよ。3600HAというモデル。」
「ん?!そう。じゃあ貰う。」
と貰い受けた。
使い勝手が悪ければルーターテーブル用にするか。
数日後手元に届いた3600HA。梱包を解いて本体や備品を確認した後、半年以上しまい込んでいた。昨年11月試しに使ってみると「なんじゃ、こりゃ!!使い物にならん!!」

 

使い物にならん3600HA

使い物にならない箇所は

▲本体のベースが径158mm、取り付ける樹脂ベースは径160mm。樹脂ベースの取り付けは径5mmのナベ小ネジに対し、樹脂ベースの穴径は6mm。つまりベースの中心が駆動部の中心から1mmズレる。樹脂ベースを位置決めするものは無い。(3612BRAは皿小ネジで樹脂ベースは固定位置)
ベースの中心が駆動部の中心から1mmズレる、ということは、円形のベース周囲を当て木などのガイドに沿わせる加工は出来ない。また樹脂ベースに取り付ける付属のテンプレートガイドを取り付けての型板加工も出来ない。
蟻溝は勿論のこと、はめ込みの加工も全く精度が出ない。使えない。

 

▲樹脂ベースは成型時のバリが残っていて加工材の表面を傷付ける。(研磨してバリを落とした。表面にバリが出る成型する??)

樹脂ベースのバリ

など。

この件をマキタに直接問い合わせたところ
「古くからのモデルですが、今までそのようなクレームは一度もありません。」
「ええっ?!?!??」
「購入した販売店、もしくは取扱店にビットを取り付けて今一度その問題点を説明して本体をあずけてください」
(何故ビットが必要??)
言われるまま取引先の機械屋さん経由で営業所に渡したものの
「何ともなりません。樹脂ベースが新品に交換されました。同じものですが‥‥」(また、バリ取りするんかい!)
取り扱ってくれた営業所に直接電話で話してみると「本社に話してみましたが、やっぱり何ともなりません。改良することもなさそうです。」

低価格商品で機能が狭まるならまだしも、精度が出ない商品は何ともならん。「世界のマキタさんが!」と嫌味を言ってしまった。

ハンドルーターとして使えないのだからテーブルに取り付ける以外に使い用がない、と腹を決めた。

 

ルーターテーブルの制作

20年使っている3612BRA用に以前から使っていた自作テーブルは40cm四方のコンパネに取り付ける簡易なもの。今回はルーター本体を取り外すことがないため、少し真面目に作ってみることに。
材料はガイドや脚部などの構成部材が建材用の松、定盤(天板)が板厚18mmのパインの集成材を使用する低コストテーブル。総額2,500円。

正面からのルーターテーブル

 

定盤

定盤はルーター取り付け部分だけ金属板とする方法や全体にデコラを貼る方法なども検討しましたが価格が高くなる。ビットの頭は出来るだけ出せる方が良いため定盤の厚みは薄い方が良い。手頃なところで集成材にした次第。
集成材は偶然にも1枚だけ縦方向の継ぎ目がないものがありそれを購入。定盤はルーターの重みで落ち込むことが懸念されるためルーターに出来るだけ近くに太めの蟻桟を入れます。さらに定盤の落ち込みを抑えるため車両用ジャッキでルーターを支えるようにしています。また、定盤とガイドの摩耗と歪みを防ぐため堅牢なウレタン塗料であるフロアユーレット(玄々化学工業)を塗布し固めます。ちなみにフロアユーレットは名前の如く体育館の床などに使用することを目的に開発された堅牢なウレタン塗料です(顧客の希望があればテーブル天板にも使用)。仕上げ塗装の乾燥後はサンディングして加工材の滑りを良くしておきます。
メンテナンスを含め定盤へのルーター取り外しを容易にするため、定盤は脚部に嵌め込む設計としています。
テーブルサイズは幅:900、奥行き:450、高さ:820。

 

ルーター取り付け位置

ルーターの取り付け位置は定盤の奥の方になります。手前を広めに取るのは座板などの面取り作業をスムーズに行うためです。手前に300mmあれば十分でしょう。

ルーター取り付け位置

 

ガイド

一般的なガイドはスライド(平行移動)させて位置決めする方法です。これはルーター盤の種類によっては上部の駆動部が横方向に動く場合に有効です。傾斜盤でのチップソーとガイドが平行であるのと同じ原理です。しかし、駆動部が固定位置にありビットの回転運動による切削ではガイドをスライドさせる必要はありません。このため、以前のルーターテーブルもガイドは軸を支点に位置決めする方法を取っています。ガイドはテーブル両端でクランプで固定となります。勿論ガイドは定盤に直角が基本です。

 

切削深さの調整

3600HAのビットの出具合調整はネジ式のスケーリングを回転させて行う方式(1回転で5mmの昇降)ですが、スケーリングとベース部分は一体ではありません。ハンドルーターとして使用する場合は有効なのでしょう。
今回は定盤下でルーターを固定するのでビットの出具合調整が難儀になります。定盤の落ち込みを抑えるためルーター下部に取り付けたジャッキが微調整を容易にしてくれます。ジャッキが定盤の落ち込み防止、ビット高の微調整の役割を果たします。

ルーター下にジャッキ

 

マキタへの要望

1.欧米で販売しているモデル(ルーターに限らず)を国内でも販売を!

2.使い物にならんモデルは改善、もしくは廃番にすべき!

今のところ、要望は以上。


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