フレーム型天板
マホガニーのサイドテーブルの天板を、Revival Deskの袖抽斗から採用しているフレーム型天板で制作しています。
天板の反りと伸縮に
一般的に無垢材で制作している天板(甲板)は、一枚もしくは数枚を剥ぎ合わせるのですが、木の特性である反りを抑えながら伸縮を吸収するために、
- 両側に蟻桟を通す手法
- 側板と組む手法
- 木口を端嵌めとする手法
- 四方をフレームとして天板を挟み込む手法
が使われています。
1.両側に蟻桟を通す手法
蟻桟では、通し蟻、止め蟻、寄せ蟻が良く知られた手法で、反りと伸縮に対応するだけの桟であったり、脚部や側部分を支える部材であったりします。
2.側板と組む手法
側板と組む場合では、天板木口直下に脚部が来る場合は蟻組みやあられ組み、木口から幾分内側に入ったところに脚部が来る場合は脚部上部の木口を蟻加工して止め蟻や寄せ蟻で組み入れます。
3.木口を端嵌めとする手法
端嵌めは、天板の反りに対応するものの、どちらかと言えば木口を見せない、見た目が美しいなど意匠的な要素が強いと感じています。
本核(さね)端嵌めでは、経年変化で天板が痩せて端嵌めが出っ張った状態になりやすいです。このため、棚板では手前のみを留め端嵌めにしています。
留め端嵌めでは、天板の幅は最大で500mmが限界でそれ以上だと留め部分の形状が壊れることがあります。このため天板では小振りなもので使い、建て具や棚板で使う場合が多いです。
4.四方をフレームとして天板を挟み込む手法
天板の四方をフレームで囲む手法は、良く見掛ける座卓で使われており、装飾のための彫りを入れた脚部と幕板とのバランスのために使われているものと思われます。また天板の厚みが十分に取れなかったりする場合に使われています。
後者の場合ですが、面白い木目は案外白太に近いところに現れているように思われます。白太に近ければ近いほど均等で十分な厚みを確保するするのは難しくなり四方を囲むしかないのですが、白太に近いと経年変化で中央部分が落ち込んだり盛り上がる場合があり、中央に一本蟻桟を入れる必要があります。
フレームで囲む天板は、框組の建て具の鏡板やフォト・フレームのガラスのように奥に入るのではなく、フレームと天板は面一となります。天板の伸縮を考慮するために否が応でも隙間(逃げしろ、遊びしろ)を持ちます。設計する側と制作者側は意に適ったことなのですが、使う側からするとその隙間にゴミや汚れが入り込み易く除去し辛い、という欠点があります。
フレーム型天板の構造
Revival Deskの袖抽斗から採用しているフレーム型天板では、上記のフレームで囲む天板の問題点を解消したいという思いから設計したものです。__昔からある手法だよ。加工が面倒だから波及しなかっただけだよ。という声があるかも‥‥__
フレームと天板の厚みは同じですが、天板をフレームから5mm上げています。この段差は気になるものではないと思います。フレームの溝が天板の反りを抑え、伸縮を吸収します。天板の動きを気にせずフレームに側、脚部分の組みができるのは上記と同じですが、天板伸縮による隙間が出ない、ということです。
天板の厚みを薄くすることも当然可能なのですが、やはりそれなりの重量感は欲しいものです。今はまだ、一辺600mm程度のものしか使っていませんがいろいろと展開したいと思っています。