木工作業の工夫9(挽き割り後の反り修正)

反り修正したクリ板1

製材時に35mm厚の板材を30mmで仕上げるのはごく一般的で、手押し鉋盤とプレーナーを使えば容易です。ところが今回手元に35mm厚の板材が足りず50mm厚も使うことになりました。
手押し鉋盤で基準面を作りバンドソーで挽き割りをします。反りが出ることを想定して35mmで挽きました。ところが想定以上に反りが大きく、粗木取りで長さ750mm、幅285mmの材は仕上がり30mmはとても無理。このまま仕上げれば25mm程になってしまう。

挽き割りの予定と実際

 

そこで、暖房用に使っている遠赤外線ヒーターを使って反り修正をすることにしました。
自然(天然)乾燥材だから可能なことです。木細胞内に水分が残っているからで細胞内まで乾燥させた人工乾燥材では無理です。経験上破断、もしくは修正出来ません。
桟などはアイロンを用いたりしますが、面が大きいので今回は全体を一挙に熱したいため遠赤外線ヒーターです。
以下、手順です。
材を熱している写真、ラップで包んでの写真は撮り忘れたので図としました。

1.片面を熱する

材を熱する今までの経験から、挽き割ると挽き割った面が収縮します。わたしは単純な思考回路なので挽き割り面が乾燥、外気に触れていた面が外の湿気を含んでいる、と判断しました。(太平洋側の名古屋で製材、乾燥された材を湿潤な山間のこの地に持って来たからかもしれません。長梅雨のせいかも。)
そのため外気に触れていた面のみ全体をヒーターで熱します。焦がさないように注意しながらアチッ!となるくらいまで。

2.反対面を濡らす

反り内側の収縮した挽き割り面に水を含ませます。ベタベタに水を拭き更に半絞りの濡れタオルを当てます。この面は熱しません。

3.ラップで包む

1と2の作業を材がまだ熱い内に手早く行い水分が蒸発しにくいようにラップで包みます。

材のクランプ締め

 

4.反り強制

反りと反対側に反るようにクランプで締めます。

5.外気に馴染ませる

一週間ほど経ってからラップと濡れタオルを外してもう一度クランプで締めて両面を外気に馴染ませます。

濡れタオルとラップを外して再度クランプで締める。

 

6.面になるように締め直す

反りがわずかに反対側に反ったことが確認できたら、面になるようにクランプで締めておきます。この期間は長い方が良いでしょう。

以上です。

反対側に反らしてクランプするのですが、あまり長期間だとと逆反りしてしまうので注意が必要です。

おまけ

夏の終わりに庭のヤマユリが咲き誇りました。
夕暮れ時、白い花が宙に浮かぶ。

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