座板への蟻桟

座板ですが、木工の先輩の一人は「座板での接ぎはイモ接ぎ、蟻桟は入れたことがない。割れたこと(キレたこと)はないよ」と話してくれたことがあります。わたしはダメです。イモ接ぎはわたしもしますが、蟻桟は何らかの形で必ず入れるようにしています。お客さんから「昔買った量産品の座板が割れた」と何度か聞いたことがあり、また反りへの対策は必要と考えているからです。

今回の座板の蟻桟は、後は単純に蟻桟、前は脚部の横揺れ防止を兼ねた蟻桟としています。通常の蟻桟はテーパー形状ですが、今回の蟻桟は前後ともテーパーを入れていません。蟻桟の固定位置を桟の中央に持ってくるためです。そうすることで座板の伸縮は固定位置から左右均等(計算上)になるからです。特に前の蟻桟は脚部と枘で固定するため、座板の伸縮が左右どちらかに偏ってしまうと座板が膨張した際に枘を抜いてしまう危険性もあるからです。また座板と脚部は伸縮への遊びを持たせた相欠きで強度を持たせているため蟻桟の板厚は15mmでも十分です。

小さな便利治具

蟻桟を位置決めする際、テーパー形状の場合は先端部分に下穴を開けてビス留め、丸棒で下穴隠し、を見掛けることが多いです。わたしは丸棒そのまま突っ込みます。ビスが好きではないからです。ただ丸棒を突っ込む際、注意しなければならない点があります。注射器と同じで下穴の空気が抜けないと丸棒は底まで入りません。特に深い下穴が顕著です。本体に掛かり始めたところで入らなくなる場合があります。そのため、丸棒には線彫の彫刻刀で溝を2箇所くらい入れ、空気とボンドを逃がすようにしています(長い枘と同様)。穴の深さを丸棒に記しておくと底まで入っているか確認できます。

下穴用治具(ガイド)

今回のように蟻桟を中央で位置決めする場合は斜めに丸棒を差し込みます。その際に便利なのが斜めに下穴を開けるガイド治具です。ドリルのみで開けようとすると刃の回転で本体、桟とも傷だらけになり綺麗に開けられません。
作り方は至って簡単です。カネ出しした角材をしらがきできちんと墨付けし穴を開け、部材に当たる部分を45度ずつカットすれば完成です。穴にシリコンスプレーを染み込ませておくとドリルで穴を傷つける度合いは小さくなり動きもスムーズです。

おまけ

夏が来〜れば顔を出す〜 My Friend !

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