斧の柄が折れたので

倉庫に長い間眠っていた斧を1年ほど前に薪割りで使いました。あることは知っていたのですが、斧での薪割りに対して恐怖感が強く敬遠していたのです。またその斧は手入れなどされておらず刃先は錆びてボロボロ、握り柄もきっと劣化しているだろう‥‥
案の定、へっぴり腰なので上手く薪に刃が当たらないわ、柄が薪に当たるわ、ボロボロの刃が入っていかないわ、で柄が折れた。
刃に残った折れた柄は刃の錆びと鉄の楔の錆びで固まっていて叩いても抜けない。エーイッ、とばかりに薪ストーブに放り込みチンチンに焼いてバケツにジュー。焼き入れです。刃の口の中をワイヤーブラシでカスを落とす。柄を新調しようとホームセンターに出掛けてみると5,000円以上もする。銘のある斧の刃でなく、昔農機具店などで販売していた程度の代物に5,000円の柄はちょっと躊躇う。1年放置。

 

柄を新調した斧

先月、雪で折れた雑木を薪用として町内のオッチャンからもらい、斧を調整する気になりました。
柄は白樫が良いのですが、手元にある白樫は鉋台用に調達したもので長さが足りない。ちょうど良いサイズのトネリコがあり使うことにしました。斧の柄にも良いと思うのですがどうでしょうか。
トネリコは硬くて強く粘りがあり曲げに非常に強いのが特徴。比重は白樫と同じくらいで重い。バットやステッキ、家具では椅子の脚などに使われる材です。鉋掛けでは1枚刃だと逆目では刃が食い込んでしまうため2枚刃、もしくは鉋刃口が小さい仕上げ鉋が良いですね。

斧の柄を作るに当たり、拝読している”木とジョイントの専門家 阿部蔵之さんのwebサイトhttp://kurayuki.abeshoten.jp“に斧に関する詳細な記事があったことを思い出し、改めて目を通し、刃が抜けない、柄が折れにくいなど安全面を中心に参考にしました。

斧関連コンテンツ

http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/30016

http://kurayuki.abeshoten.jp/blog/14976

など

記事に掲載されている「割り斧」の柄の模写はせず、自分なりの工夫をしました。

工夫した箇所など

  • 柄の背側は真っ直ぐで腹側はRを付けました。下を厚くして振り下ろした時に柄が手から抜けないようにです。
  • 柄は980mmと長いですが、支える下のグリップ位置は刃の下から770mm。長くて使いづらければ切れば良い。
  • 柄が入る口(「ひつ」と呼ぶようです)の形は、入り口が台形、出口が大きめの楕円形。困ったものです。どうも柄頭を割って楔を入れることを前提とした「ひつ」の作りです。当初は「ひつ」の形状に合わせて柄頭を作って柄頭に切り込みを入れ、挿入後に楔を入れるつもりでしたが、柄頭を割っていれば強度が大きく落ちます。そのため柄頭の幅を10mm落として腹側に楔を入れて丸棒で固定する方法にしました。楔は白樫で「ひつ」形状に合わせて削っています。
  • 柄には段差を付けていません。胴付き枘のように段差があるとそこから折れる可能性が大きいからで、全てなだらかな曲線にして衝撃が全体に分散するようにしています。

 

柄を新調するので刃先もキチンと研磨しました。グラインダーで荒削りして刃研ぎします。斧の刃は外R形状が常識のようなのですが、鉋の刃研ぎ習慣で真っ直ぐにしてしまいました。使っているうちに端っこがきっと欠けてくるでしょうから追々外Rになっていくと思います。

刃先を研磨すれば危険度が増します。30年ほど前にやっていた皮細工での端材を使って刃先カバーを作りました。皮を二つ折りして2箇所カシメただけの簡単なものです。

梅雨が来る前に、薪割りを終えたいなぁと思っていますが、さてさて‥‥

斧の柄が折れたので」への3件のフィードバック

  1. この斧刃は薪割りではなく、切り倒し斧(ヨキ)メドヨキ{穴あけ)ではござらぬか?
    刃型先端Rは、真っ直ぐにしてはアブバイ。ご無事を祈りマス。キコリンabe

  2. 柄は折れ
    骨が折れる
    楔尻をとめているので
    降り外して当たると砕ける
    先留め楔?は珍しい

    伐採_ハツリ_薪割り 
    疲れしんどいデスが体力筋力トレ、気分転換最高!

    斧柄は国産白樫良材がなくなり
    ラオスから中国経由で輸入されています。

    樫材木工専門は、名古屋の近藤樫材木工所だけとなりました。
    一度、伺いました。後継ぎは健在。

    使い方を間違え、大怪我でると凶器扱いされ、危険物製品安全にされ困るので
    ブログに詳しく掲載したものです。
    樹木の性質や、斧の安全作業について作業ガイドをまとめることも必要かも。
    世界各国からアクセス閲覧あり、世界的に「斧柄ジョイント」の知識や技能が伝わりますよううに。滋賀県の斧柄拠点はお任せ板シマス。

    キコリンジャ-abe

    1. Abeさん、コメントありがとうございます。
      なるほど、切り倒し用穴開け(?)なんですか。とりあえず手元にあるものの有効活用です。薪割り用購入までの薪割り量がありません。
      刃先、十分注意しながらやります。

      近藤樫材木工所さんだったでしょうか、数年前に丸ス松井材木店さんで「柄用だよ」と樫を買って行かれました。お忙しそうだったので挨拶のみでした。

      わたしは臆病者なので大きな刃物を見るだけで体温が下がります。安全第一! 慣れ作業はコワイ! 斧の安全作業ガイド、楽しみにしています!!

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