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山桑と黒柿の仏壇制作2025

山桑と黒柿の仏壇1

本体を山桑、雨戸(扉)は黒柿を使用した小振りの仏壇です。サイズは、幅320mm、奥行235mm、高さ370mm。

本体の構造は、天板と地板の蟻溝に側板を、また棚板2枚とスライド板は背側から差し込む方法をとっています。スライド板は110mm引き出すことができます。
雨戸は左右それぞれ2枚の折戸です。側板と外側雨戸の閉じ角度は114°、内側と外側の閉じ角度は152°としています。雨戸の幅は外側が85mm、内側が80mmです。雨戸は2023年12月のBlogで紹介した「ちょっと変わった端嵌め」を採用しています。

雨戸の収まりは、ネオジウム磁石を内側雨戸上部と天板内側のストッパーに取り付けによります。キレイに収めるためストッパーの磁石2個の位置を雨戸の磁石より数ミリ小さくしています。これによって雨戸が内側に寄る力が働きます。
雨戸、抽斗のつまみは紫檀の削り出しです。

 

おまけ

酷暑が続いていて、作業中に汗が仕上げた部材に落ちないか、オイルフィニッシュ中にニトリルゴム手袋の中に溜まった汗が落ちないか、と夏の作業は夏の苦労があります。
酷暑でも今年も庭にヤマユリが開きました。夕暮れ時には白い花が浮かび上がり、その白さが涼しさを感じさせてくれます。また来夏も!

留隠し蟻組みの方が‥‥

山桑で抽斗2杯の小抽斗。
山桑の板材を3枚接ぎで本体を構成。木目がつながる天板と側板をどう組むか、天秤指し、留隠し蟻組み‥‥ んむ、天秤指しにしよう!と、機械加工と仕上げの手加工に勤しむ。

山桑の小抽斗2

山桑の色が濃くて木目方向の毛引き線がとても見にくい。特に天秤オス側の三角底辺と頂点がツライ。毛引き線に白チョークを刷っても木目と区別が付かない。遠近両用のメガネを外し裸眼で10cmくらいまで近づき鑿の刃を当てる仕上げ作業。疲れる。
天秤指しは一般的に天板と側板の組みで行い底板側は行わないが、今回は小抽斗という小物であることから底板側も天秤指しとした。
板厚が15mmと薄いため、天秤頂点の2mm幅が意外と太く見える。手鋸で1mmくらいにすれば良かったかなぁと作業中に思ったりしたけれど、対応できるほどの細い鑿が無い。
無事に組み上げる。

左の天秤指し3

山桑の色が濃いため天秤部分がはっきりしない。今回使った山桑は木目が乱れて面白味のある材を使ったこともあり、節に近い部分は木口と同じで黒っぽくなっている。オイルを塗れば少しは目立つか、と思いきや、もっと天秤が見えなくなってしまった。

教訓:木目の流れを見せたい色が濃い板材の組みは、天秤指しより留隠し蟻組みの方に分がある。