巻障子の組子の制作時に使った方法です。
300本を超える組子材の相欠き部分の切削方法です。
一枚の戸に内側組子材が縦:12本、横:13本入ります。戸の数は12枚です。1800箇所を超える欠き取りとなります。
建具屋さんでは専用の切削機を所有しているそうですが、わたしは持っていませんしこういった作業が定期的に入ることもないでしょうから、新規の設備導入はせずに既存の加工機を使うことになります。
正確な位置、精度の高い切削深さが300本均等に求められます。既存設備の適応力を考えます。
横切り盤、傾斜盤では一回で必要深さの切削が出来ますが、材を動かさねばならず位置の精度が出にくいためパスします。
いろいろ考えた末、1枚の戸を縦横それぞr1セットとして固定しトリマーで切削することにします。 切削深さは最終的に9mmですが1回の切削は被切削材の破損の危険があります。かと言って毎回ビットの刃の出を3mm、6mm、9mmに調整すれば深さの精度は出ません。また、3mm、6mm、9mm毎に切削箇所を変更するのも正確な位置とはなりません。 そこで手持ちの3mm厚の薄板2枚を使うことにしました。
◯トリマーでの切削手順
- カネ出しした長尺材<固定材>を作業台に設置
- 1セットを揃え固定材に固定
- トリマーガイドを固定
- トリマーの刃の出を9mmに固定
- 太目に穴開けした薄板2枚(3mm × 2)をガイドに設置しトリマーで3mm切削
- 薄板1枚(3mm × 1)で6mmの深さに
- 薄板を外し9mmの深さ
こうすれば、切削位置、深さは均等になります。トリマーガイド位置固定での0.1mm以下の狂いはどうしようもない、と思います。
被切削材の固定、トリマーの刃の出の固定、トリマーガイドの固定で既存の設備で最も効率的と考えた方法ですが、それでも切削数は相当なものです。
長時間同じ作業をすることが苦手なわたしです。やっていれば、いつかは終わると言い聞かせながら‥‥建具屋さんはエライッ!
相欠きの加工ですが、苦労されたようですね。
私も似たような加工は良くやりますが、数が多く、精度を要求される仕事は大変です。
専門職の建具屋は一般にはラジアルアームソーを駆使して加工するのだろうと思います。
たぶん、現在ではNC制御で位置決めするのでしょうか。
私などは丸鋸昇降盤で加工しちゃいますね。手で掴める程度の数の部材をひとまとめにし、一気に。
相欠きは複数箇所あるようですので、必要に応じスペースのブロックを咬ませ、精度を出す。
加工の容易さ、切削肌の美麗さ、作業者の疲労度、などからの加工機械の選択ですが、トリマーという選択は不意を突かれた感じですね。
組子の材が厚み6mm、長さ2000mm超となると、ヘロンヘロン(?)に曲がります。わたしの場合は戸1枚分をまとめても材がずれてしまう懸念が大きかったのです。こんな時は材を固定して加工機側を動かす方が有効と判断しました。
材の加工では、被切削材の大小、長短、厚さ等によって加工機側を動かすか、材を動かすかを判断するようにしています。精度、切削肌、安全性などを考えて。
溝切りカッターよりもトリマーが良い場合もあると思います。
さっそくの詳細手口。ありがとうございます。
電動工具(大型であれ小型であれ)を固定で被加工材を運行させる、逆に被加工材を固定で電動工具を運行させる。仰る通り、材のボリュームで加工プロセスは多様になりますね。
建具屋が用いるラジアルソーも同様のスタイルです。
加え、作業環境や作業者の得手不得手なども加味されるかもしれません。
結果が同じであればどちらでも構わないわけですが、そのプロセスは作業者の加工スタイルが関わりますのでなかなか興味深いものがあります。トリマー切削という意表を突く手法は新鮮で面白く拝見しました。
なお、釈迦に説法ではありませんが、丸鋸昇降盤での長尺物の加工では、補助定盤を拵え、この定盤ごと運行させることで不安定さを排除することができますね。(事例⇩:私じゃありませんが ^^; )
http://davidbarronfurniture.blogspot.com/2015/02/new-crosscut-sled.html
私もラジアルソーが欲しくなってきました ^^;
それと、建具屋の組子の加工ですが、細部の相欠き等は電動工具での加工ではなく専用の手鉋を多用するようで、この辺りも興味深いものがあります。
ふむふむ、補助定盤、なるほどなるほど。
建具屋さん、専用の手鉋ですか!どんなふうにしてはるんでしょ。今度名古屋に出かけた時、Mさんに紹介してもらって訪ねてみようかな。