カテゴリー別アーカイブ: 木工

端嵌め2

精度ある端嵌め加工へ

端嵌めは木工を始めてから直ぐに取り入れているのですが、表と裏の加工には毎回苦心惨憺。どんなに神経を尖らせて集中しても表と裏の切削量が微妙にずれ、手加工で微調整を行い仕上げていました。
ルーターマシンや核加工専用のビット(二枚のストレートビットの間にコロが付いている、かな?)を持っている木工屋さんはそれほど悩んでいないのかもしれませんが、わたしはどちらも所有していません。

今までは、端嵌め専用のガイドを表と裏それぞれにセッティングしルーターやトリマーで加工していました。また、本核ではなく雇い核を用いたこともあります。ただこれは芳しくなく直ぐ止めました。

核の端を基準に

今一度、頭の中でより少ない工程で精度が出る最良の方法を整理し、否が応でもビットによる加工が必要になることを再確認しました。ビットを入れてある抽斗を探ると核加工専用ではないもののコロ付きの大径(24mm)のストレートビットが見つかり、切削状態を確かめてみました。。
加工の基準を核の端に置くという方法を考えました。つまり、核の端を精度高く加工しておきここにコロを当て表裏両面を切削する方法です。
正解です!
また、このビットは前述の核加工専用のビット(量産品で価格は1.5万円ほど、さらにインチのみ)より低価格です。端嵌めを採用したい方にオススメです。コロ(ベアリング)のサイズで核の奥行き変更もできます。

なお、ビット加工の前に基準となる核をボンドで固くして加工時に核がこぼれないようにしておくとより安心して加工できます。特にトチのように柔らかくて欠けやすい木目が杢状の材には有効です。

おまけ

筆返しと一体加工した端嵌め

おまけの写真は、15年程前に制作、納品した肥松の茶棚の天板部分。
筆返しと一体加工した本核端嵌めを思いつき制作。天板と掛け木(筆返し)とのズレ防止、より接着面を大きくするために噛み合いを斜め(蟻加工)にしています。

テーブル改造2

テーブル改造 こちらは小さく!

夏前にご依頼いただいたテーブル改造。
栓の一枚板テーブル(1500mm × ≒950 × t:60)を小さくするという課題です。
テーブルサイズを950mm × ≒950とし、残りの材を天板t:30としてテーブルに添えるワゴンにして欲しい、とのことです。何でもこなすのが「木工屋みしょう」なので‥‥
ご依頼された方は設計士、加えてお父様がどうも宮大工さんのようで‥‥木のことは良く判ってくださっているので図面、構造の説明もスムーズです。

テーブル縮小

天板を切る前に表の面を出すためにひたすら鉋を掛けます。裏返して厚みを整えるため鉋を掛けます。そして天板をカット。寄せ蟻を入れて脚を組み付けます。テーブル完成。

ワゴン制作

天板は通常の木目とは逆となります。正面が木口で、奥行きが500mm、幅が≒950mm、厚みが30mmという天板を作らなければなりません。わたしが所有するプレーナーの切削幅はmax500mmですが横方向になるため使えません。手鋸でひたすら挽き割りです。丸一日掛かってしまいました。シーズニングしそして鉋掛け。側上部の横桟と寄せ蟻の桟を組んだ梯子を横方向に前後2本入れて天板完成。
残った材で抽斗を制作。無駄なく栓を使いました。

この勢いというか上がったテンションで、8月のブログで書いたように扉を端嵌めし、側板上部を背面から蟻で入れ、側板と底板とを隠し蟻。こういった時間、木工屋の喜びですね。好きです。
8月末に完成していたのですが、搬入は9月22日となりました。

写真は逆光であったため、明るくしたりコントラストを付けたりしたので見辛いかもしれません。

蟻組み、蟻桟

多用する蟻組み、蟻桟

蟻組み、蟻桟は様々なところで使っています。天板の反り止めは代表的なものです。その他にも抽斗前板の反り止め、板作りでの天板、側板双方の反り止めなど多岐に渡ります。
蟻組み、蟻桟は、対する板の反りを抑えるのは勿論ですが、板作りでの天板、側板の伸縮にも上手く対応します。そのため、構造的なこと、経年変化などを考え図面を引いていると否が応でも蟻組み、蟻桟を使うことになります。

一時代前なら鉋、鑿等の手工具だったのでしょうが、今はルーターやトリマーで蟻溝を掘り蟻桟を加工するのが一般的でしょう。わたしもそうです。木工屋になって間もない頃、蟻溝の墨付けは蟻溝のビット端っこで取っていました。多用するに伴い、精度が出し難いことに気付きこの墨付けは止めました。ビットのセンターで墨付けするようになりました。この方が墨付けが容易で間違いや狂いが小さくなります。また作図でも反映し易いです。ということは、精度の高いものを作ることが出来る、木という材の応力を歪めない、などの利点があります。
繰り返しやっていれば、角鑿の位置決めとそれほど大差ないものです。

写真は、横桟に側板の蟻を入れるもの、側板と底板との蟻組。
横桟に側板の蟻を入れるものは、前のみ接着剤で位置決め、側板の伸縮に伴う背板のズレはそれなりに逃げを付けています。ちなみに、天板の木理は通常の逆であることから(お客様の要望)、寄せ蟻を前後に二本。
側板と底板との蟻組みですが、底板の反りは全体の重みで抑えられますが、側板の反りは底板との蟻組みでないと抑えられない、との判断によるもの。そのため、天秤差し等に見られる意匠的なものは出来てこないため、組みを側板の内側として外からは全く見えないようにしました。隠し蟻ですね。

「また、面倒臭いことしとる!」と、今回も友人に言われ‥‥

端嵌め

留め枘本核端嵌め

留め枘本核端嵌め良く使う端嵌め(はしばめ)です。いつもは枘のない本核を均等の長さ(奥行きかな?)で設定していたのですが、今回は留め枘を中央に幅広で設定した端嵌めとしました。
端嵌めは裏表を正確に墨付け、加工しないと隙間が出てしまう気の張る作業です。
例え手の込んだ加工であっても、「良い!」と思ったことは取り入れるようにしています。
それが木工屋だと思っています。

テーブルの改造

ダイニング・テーブルの改造(拡大)のご依頼

材はナラ、天板サイズは直径1,450mmの16角形、厚みは40mmプラス。
家族が増える、とのことで幅を600mm拡大することになりました。

30年以上前にご購入された今は無き量産家具メーカー・H家具製。
当時、ナラがふんだんに市場に流通していたことを感じさせます。天板の面を出すために鉋を掛けたのですが正直なところ性の良い材とは言えません。15枚程の集成で虎斑杢が出ているものの白く目が粗い硬い材です(ロシア産?でも、国産?)。
組み方法は10mm径のナラの丸棒、ジョイントボルト。天板の反り止めとして、60mm幅、20mmの深さの溝が掘られ、30mm × 60mmのブナ材がビス止め。むむ〜。

改造したテーブル

極力イメージを変えないように改造しました。天板の木目方向は幅方向ではなく奥行き方向となるため、天板は3分割としました。脚部も十字のクロス部分をカットして600mmをプラス。V字部分の開きを抑えるため2枚枘で丸棒固定を補強し、両端には床に接する部材を添えて脚部の落ち込みをカバーしています。

改造は、新規の制作以上に時間と労力が掛かります。木工屋さんは判ってくれるのですが、ご依頼される方にはなかなか理解されない。木工屋の悲しい性(さが)としましょうか。
※写真は我が家での仮組み。