一枚のトチからサイドテーブルを!
脚部組み立てで、壊れた!ここまで壊れると、ガハハッ!笑うしかないわ!
4本の脚を四方から締めるのと同時に、対角線上にも締める。倒して転がしながらコンコンと叩いて行くのだけれど、徐々に叩く力が強くなる。一箇所小さな割れが‥‥まあ、これくらい何とかなるさ!それでも叩く!
バキッ! ダメだ、こりゃ! 完璧な設計ミス。斜め方向への強度とデザイン面の工夫を狙った対角線上にクロスさせた貫が問題。
クロスさせる貫はパスして、脚部すべて作り直しだわ‥‥
15年ほど前に岐阜・各務原の材木市で購入したトチ板を天板にして、極端に曲がっているトチを脚部に使用するダイニングテーブルの制作です。
まず材がそれぞれどのような材であるかを確認します。
天板は長さが2100mm、幅が700〜850mm、厚みが45mmで挽かれています。購入後直ぐに虫が付きやすい白太部分はある程度落としていたので900mmほどの幅はこの程度になっています。トチ特有のキラキラ、杢杢感は強くありません。また、木表側は白太部分が多いことから今回は木裏使いとなります。45mm厚で挽かれていた材は自然乾燥で反りと捻れが出ていて仕上がりは40mmで落ち着きそうです。サイズは1800mm × 700〜850 × t:40といったところでしょう。
脚部の曲がっている材は、厚みが60mmで挽かれています。反りと捻れを落とせば55mmは取れます。Rは内径と外径の違いは勿論ですが2枚それぞれが違います。そこで木目に倣い左右それぞれの脚とスリ脚をアンシンメトリーにすることにします。
わたしの木工作業では結構反り台鉋と四方反り鉋を使います。
7月に反り台鉋の刃研ぎをしようと刃裏を見ると「あっ、割れ!」。この鉋刃は裏出しを冬に行ったものです。
大垣技専時代に「寒い時は、お湯で温めると割れにくい」と教えられました。もちろん冬場での裏出し作業は、刃と金敷(わたしはレールです)を温めてはいますが、冬の作業場の気温は3°以下はザラ。温めていてもコンコンやっているうちに冷めてしまう。冷えた刃を慎重に叩いてどうにか裏出しー裏押しー研ぎを済ませていたのですが‥‥
順調に反り台鉋作業が進んでいたようですが、刃の内部にはひびが入っていたようです。削りと研磨を繰り返しているうちにそのひびが表に出てきました。
やはり、寒い時期の裏出しは芳しくありません。暖かい時期にするのが良いですね。裏出しも早いです。わたしは気が小さいので、夏場でも刃と金敷を数時間陽に当てて熱いくらいにしてから叩きます。もちろん火傷には気をつけます。
冬に裏出し作業をしなくてすむように、今回から3mmと多めに出しておきます。
(裏出し作業の鉋刃は、平台の荒鉋のもの)
マホガニーと並ぶ高級材のチークは、国内の家具ではあまり目にすることはありません。見掛けるのはデッキチェアくらいでしょうか。
わたしも以前デッキチェア、テーブルを制作しました。
今回、あまり目にしないこのチークについて、材のこと、加工のことなどについて触れてみたいと思います。
「原色インテリア木材ブック」(著者:宮本茂紀)にはこう書かれています。
チーク タイチーク。Teak
クマツヅラ科。産地:タイ、ミャンマー、インド、インドネシア。木理:やや粗。比重:0.68。径:2m。環孔材的な散孔材。心材は淡褐色〜黄褐色〜褐色、ときに黒色の縞をもつもの(縞チーク)がある。辺材はほぼ白色。光沢があって美しく、独特の芳香がある。硬い割には加工が容易で、サンダーもかけやすい。弾力があるので曲げに強い。十分に乾燥したものは狂いが少なく、虫にも強い。木目はローズウッドのような華やかさはないが飽きのこない、しっかりとした主張がある。銘木中の銘木である。
ー前ページー
‥‥家具材になるずっと以前から、船の構造材、とくに甲板用材として重宝され、世界各国で高い評価を得てきた。‥‥<中略>‥‥
なぜチークが造船材として使われているかというと、それはチークには良質の油、木製タールが含まれているからで、これが鉄の腐食を防ぎ。釘やボルトなどを錆びにくくする。チークの木肌に触ると滑らかで柔らかい感触があり、機械油に似たような匂いがするのはそのためだ。またチークの木自体も酸化、腐食しにくく、酸や塩、水に強い。
自身で加工すると木材ブックに書かれている内容に肯けます。木工屋ですので実際に加工した際に感じた点を書きます。参考になれば幸いです。 続きを読む チークという材
木工を始めた頃に入手していた平台鉋刃、鉋台を作ることもなく刃を緩いR形状にしてスクレイパー替わりに使っていたこともありました。が、スクレイパーらしい作業は好みでなかったことから油布に包んで保管していました。刃は4寸幅で長さが120mmほどと妙に長く、銘も消されているという代物。
2019年7月に四方反りの鉋台を制作した経験もあることから、眠っているこの鉋刃で2台目の四方反り鉋を作ることにしました。
刃幅も大きいことから手元の四方反り鉋よりも緩やかなRを目指します。
台は樫で長さが200mm、幅が70mm、厚みが35mmと平台鉋と同じくらいの大きさにしました。Rは縦600R、横200R。
台作りは前回の「四方反りの鉋台制作」(2019年7月)と同じ工程ですが、刃口埋め材を10mmほど後方にしてしまったため、台が仕上がった際にコッパ返しの両橋が切れてしまいました(情けない)。10mm厚の材を貼り付けて対処することにしました。まあ、鉋台制作のプロではないので‥‥
この緩いRの四方反り鉋はやはり椅子の座刳りで主にに使う予定です。今まで使っていた四方反り鉋での鉋枕を出来ればもう少し少なくしたいと思っていたからです。
さて、思い通りになってくれるかどうか‥‥