カテゴリー別アーカイブ: 木工

四方反りの鉋台制作2

木工を始めた頃に入手していた平台鉋刃、鉋台を作ることもなく刃を緩いR形状にしてスクレイパー替わりに使っていたこともありました。が、スクレイパーらしい作業は好みでなかったことから油布に包んで保管していました。刃は4寸幅で長さが120mmほどと妙に長く、銘も消されているという代物。

制作した四方反り鉋

2019年7月に四方反りの鉋台を制作した経験もあることから、眠っているこの鉋刃で2台目の四方反り鉋を作ることにしました。
刃幅も大きいことから手元の四方反り鉋よりも緩やかなRを目指します。

台は樫で長さが200mm、幅が70mm、厚みが35mmと平台鉋と同じくらいの大きさにしました。Rは縦600R、横200R。
台作りは前回の「四方反りの鉋台制作」(2019年7月)と同じ工程ですが、刃口埋め材を10mmほど後方にしてしまったため、台が仕上がった際にコッパ返しの両橋が切れてしまいました(情けない)。10mm厚の材を貼り付けて対処することにしました。まあ、鉋台制作のプロではないので‥‥

この緩いRの四方反り鉋はやはり椅子の座刳りで主にに使う予定です。今まで使っていた四方反り鉋での鉋枕を出来ればもう少し少なくしたいと思っていたからです。
さて、思い通りになってくれるかどうか‥‥

木目に倣うデザイン

今回、およそ1000Rと極端に曲がったトチの材でリクライニング チェアを作ることに。

リクライニングチェア斜視

木工屋を中心としたワークショップやセミナーなどで、原木を使った椅子作りを見掛けます。また、原木での椅子制作をメインにしている木工屋さんもいます。
わたしは「すごいなぁ!」と正直思います。わたしには出来ません。木工屋を志す前、原木で作られた椅子を見た時、その自由さ奔放さに強く惹かれ作ろうとしたことがありますが、自分の中に在る或る種の固定観念のようなものが邪魔をするのか、大胆なことに臆病なのか直ぐにバンザイしてしまいました。原木で作るのはその人が持つ個性と言うかセンスなんだろうとつくづく思います。スゴイッ!です。
わたしが出来るとするなら、今回のような極端に曲がった材を自分なりに材の個性を生かしたデザインをして制作するところまでです。原木をそのまま生かすことは出来ませんが材の個性を壊さないことはなんとか出来ます。

1000Rの材から制作

 

デザイン

製材されたトチの板材は、外円が1500mmほど、内円が1000mmほど、幅は600mmほど、厚みは45mmです。極端に曲がっていること、材がトチであることから歪みは大きいです。
割れが入っている芯部分を外し、内側を座板、外側を後脚に見当をつけます。
後脚のデザインは頭を抱えます。R内側に座を置くか、後ろに反らせるか。 続きを読む 木目に倣うデザイン

残ってた材で子供椅子2

2019年2月に、姪っ子の息子とまだ生まれる前の娘に子供椅子を作った。子供たちはスクスクとデストロイヤーに成長している。
先日、姉からメールが届いた。「椅子の脚、折れちゃった」
座板の側に挿した前脚の枘が折れたよう。椅子は何脚も作ってきたけれど破損は初めて。チビちゃんと思って甘く見ていた。男の子はデストロイヤーになるのだ!!すでに襖はおぞましい状態らしい‥‥
ちょうど端材の整理を始めていたので「新しく作るよ」

折れた脚

デザイン

前回作ったこの子たちの椅子は、中途半端に残っていたタモ材を使い、成人向けの縮小版に近い構成だった。
今回の破損から、『子供椅子は頑丈が一番!』と思った。どんな使い方をするか全くわからない。成人のように上品に使うことはない。そもそも椅子の概念などない。
しばしば見掛ける子供椅子は、丸めの座板に丸棒の脚を通して楔を刺す、というもの。今になってその形状が理に叶っている!と感じた次第。
と言ってはみるものの、わたしも木工屋、それなりに工夫を凝らしたい。
「頑丈 + 木工屋」で端材を確認しながらイメージを膨らませデザインする。
楕円の座板を框組みの脚部で支える、座板の反りは蟻桟で抑える。円の座板も考えたけれど、横長の楕円形にした。あっち向いたりこっち向いたりのやんちゃ坊主向け。だから座は平面。

楕円の子供椅子 続きを読む 残ってた材で子供椅子2

木工作業の工夫11(砥石の面出し)

刃研ぎに必要な砥石、面が出ていなければどうにもなりません。

大垣技能専門校で教わったのは、ブロックに水を掛けながら砥石を研磨する方法。時には細かな砂をのせての研磨でした。
木工屋になって5年ほどこの方法で研磨していました。
ところが、ブロックの中央は窪みがちで2ヶ月くらいで更新していました。

 

砥石の研磨に石板

ある日、花崗岩の庭石が綺麗に面が出ていることに気づき、水を流して砥石を摺ると「んんっ??!! 研磨されている感触!!」そこで、庭の端っこのを1枚、承諾をいただいて貰ってきました。
当初、ブロックのように窪んでしまうだろうと思いながら使い始めたのですが、いやいや調子が良い。使い始めて早15年、石板はほとんど窪むことなく砥石を面出ししてくれます。

花崗岩の石板での砥石研磨

花崗岩は石材屋さんで一般的に扱っている石材ですね。主に墓石‥‥。面出し出来ている端材は格安で入手出来るのではないでしょうか。(お墓の墓地から頂くのはちょっと‥‥)わたしが使っているのは、縦:50cmくらい、幅:20cmくらい、厚み:3cmくらい。これくらいのサイズが使い易いと思います。 続きを読む 木工作業の工夫11(砥石の面出し)

曲げ加工の失敗談

材の反り修正でアイロンは何度も使ってきました。今回、椅子の背板で蒸しての曲げ加工を試してみました。

今まで背板の曲面は型板を頼りにバンドソーで粗木取りし、反り台鉋で削り出していました。が、厚みの均一性と作業効率が今一歩。
というわけで、均一の厚みで枘(男木)加工を済ませて曲げ加工をしてみようと。
材を濡らし水を含ませた当て布の上をスチームアイロン、というやり方は反り修正と変わらず面白味がない、新しく蒸して曲げようと思ったわけです。

削り出しの背板

D.チェア(山桜)2

曲げ加工の背板

曲げ加工の背板

 

蒸して曲げる

蒸して曲げる方法は一般的な曲木の方法ですが、有効な設備は持ち合わせていません。そこで思い立ったのが薪ストーブのヤカン。ヤカンに煙突を立ててその中に材をぶら下げて蒸そう! 続きを読む 曲げ加工の失敗談