カテゴリー別アーカイブ: 木工

残ってた材で子供椅子2

2019年2月に、姪っ子の息子とまだ生まれる前の娘に子供椅子を作った。子供たちはスクスクとデストロイヤーに成長している。
先日、姉からメールが届いた。「椅子の脚、折れちゃった」
座板の側に挿した前脚の枘が折れたよう。椅子は何脚も作ってきたけれど破損は初めて。チビちゃんと思って甘く見ていた。男の子はデストロイヤーになるのだ!!すでに襖はおぞましい状態らしい‥‥
ちょうど端材の整理を始めていたので「新しく作るよ」

折れた脚

デザイン

前回作ったこの子たちの椅子は、中途半端に残っていたタモ材を使い、成人向けの縮小版に近い構成だった。
今回の破損から、『子供椅子は頑丈が一番!』と思った。どんな使い方をするか全くわからない。成人のように上品に使うことはない。そもそも椅子の概念などない。
しばしば見掛ける子供椅子は、丸めの座板に丸棒の脚を通して楔を刺す、というもの。今になってその形状が理に叶っている!と感じた次第。
と言ってはみるものの、わたしも木工屋、それなりに工夫を凝らしたい。
「頑丈 + 木工屋」で端材を確認しながらイメージを膨らませデザインする。
楕円の座板を框組みの脚部で支える、座板の反りは蟻桟で抑える。円の座板も考えたけれど、横長の楕円形にした。あっち向いたりこっち向いたりのやんちゃ坊主向け。だから座は平面。

楕円の子供椅子 続きを読む 残ってた材で子供椅子2

木工作業の工夫11(砥石の面出し)

刃研ぎに必要な砥石、面が出ていなければどうにもなりません。

大垣技能専門校で教わったのは、ブロックに水を掛けながら砥石を研磨する方法。時には細かな砂をのせての研磨でした。
木工屋になって5年ほどこの方法で研磨していました。
ところが、ブロックの中央は窪みがちで2ヶ月くらいで更新していました。

 

砥石の研磨に石板

ある日、花崗岩の庭石が綺麗に面が出ていることに気づき、水を流して砥石を摺ると「んんっ??!! 研磨されている感触!!」そこで、庭の端っこのを1枚、承諾をいただいて貰ってきました。
当初、ブロックのように窪んでしまうだろうと思いながら使い始めたのですが、いやいや調子が良い。使い始めて早15年、石板はほとんど窪むことなく砥石を面出ししてくれます。

花崗岩の石板での砥石研磨

花崗岩は石材屋さんで一般的に扱っている石材ですね。主に墓石‥‥。面出し出来ている端材は格安で入手出来るのではないでしょうか。(お墓の墓地から頂くのはちょっと‥‥)わたしが使っているのは、縦:50cmくらい、幅:20cmくらい、厚み:3cmくらい。これくらいのサイズが使い易いと思います。 続きを読む 木工作業の工夫11(砥石の面出し)

曲げ加工の失敗談

材の反り修正でアイロンは何度も使ってきました。今回、椅子の背板で蒸しての曲げ加工を試してみました。

今まで背板の曲面は型板を頼りにバンドソーで粗木取りし、反り台鉋で削り出していました。が、厚みの均一性と作業効率が今一歩。
というわけで、均一の厚みで枘(男木)加工を済ませて曲げ加工をしてみようと。
材を濡らし水を含ませた当て布の上をスチームアイロン、というやり方は反り修正と変わらず面白味がない、新しく蒸して曲げようと思ったわけです。

削り出しの背板

D.チェア(山桜)2

曲げ加工の背板

曲げ加工の背板

 

蒸して曲げる

蒸して曲げる方法は一般的な曲木の方法ですが、有効な設備は持ち合わせていません。そこで思い立ったのが薪ストーブのヤカン。ヤカンに煙突を立ててその中に材をぶら下げて蒸そう! 続きを読む 曲げ加工の失敗談

木工作業の工夫10(角鑿盤での斜め枘穴)

椅子の座板と後ろ脚との組みなどでは傾斜角をつけることがあります。
角鑿盤のテーブルは一般的に角度調整が可能ですが、テーブルと角鑿のカネが出ているものを崩したくない、再設定が面倒臭い。
角鑿盤の材当て面に罫線をガイドラインとした板をセットすることで容易に正確な角度で枘穴加工が出来ます。
今回は座板と後ろ脚は10°傾斜です。

座板と後ろ脚の組み

 

傾斜ガイド板の制作

CADで罫線を5mm間隔(適当)で引きます。ページ一杯になったら、copy&pasteし10°傾斜とマイナス10°傾斜を作り2図を重ねます。罫線は細いほど精度が出ます。

プリントした用紙を合板に貼ります。
合板は横200mm程度、縦100mm程度とします。縦はあまり高いと角鑿の保持部に当たるのでこの程度の高さが適当でしょう。また、用紙を貼る接着剤はゴム系のスプレータイプ※1を使います。水溶性のものだと紙が伸縮で歪みます。
※1 わたしが今回使っているのは、3Mのスプレーのり77。ちなみに99はボテボテ、55は剥がせるタイプ、価格が高いのが難点‥‥。なお、噴射口(予備ボタン)はスリーエム ジャパンから取り寄せることが出来ます。
貼り合わせる際は底辺を基準にすると良いでしょう。左右と上部は貼り終えてからカットします。

 

角鑿盤にセット

傾斜ガイド板に材を当て位置決めし、必要に応じて材の片方に当て木を置きます。材を締めて固定し通常の枘穴加工を行います。
10°傾斜とマイナス10°傾斜の罫線を引いているのは、左右の脚の基準面を角鑿盤の材当て面に当てるため逆になるからです。(添付している写真は、撮影のため基準面を手前にしています。)

 

座板の加工

座板の加工は、設定角度のガイド材に手鑿で仕上げます。

手鑿の傾斜ガイド

たまには自分用に

コーヒーのペーパーフィルタ・ケースを作った。たまには自分用も良いだろう。もちろん端材で本体は楢、蓋は黒柿。ミニ蝶番は市販の真鍮製。仕上げはオイルフィニッシュ。
あんまり手を加えると自分で使わず売り物にしちゃおう、などと思ってしまうので手を加えるのはほどほどにした。
当初は単純な板組みで、と思っていたが天秤指しにすることにした。天秤の二等辺三角形の大きさは高さ10mm、上≒1mm、下≒6mm、傾斜角75°で手持ちの手鋸と鑿の最小サイズ。毛引き線はシラガキで表裏しっかり引いてみた。売り物の時は0,3mmのシャープペンシルで引き、加工後毛引き線を消すのだけれど、シラガキで引いた時の鑿の当たり具合や完成後に毛引き線が残った雰囲気も感じたかった。
表裏から掘る鑿の刃先の当たり具合や精度は、当て木を使うにしろシャープペンシルより格段に良い(当然ですが)。毛引き線が残った雰囲気は、なんとなく職人らしい(わたしも職人の端っこにいるのですが‥‥)作り。それもまた楽し。

 

おまけ

今シーズン、今日2月9日の寒波は4回目。年末の1回目の重たいドカ雪で庭木がバキバキ折れた。3回目の後、折れた庭木を整理して太いものは薪にした。枝葉は春になったら始末する。
covid-19(新型コロナ)も第4波は来るだろう。イヤだが‥‥

1回目の寒波

1回目の寒波

 

4回目の寒波(手前は1回目の寒波で折れた枝葉)