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木工屋です。

ほぞ(枘)のこと<追記2>

「底糊」について

「底糊」について、接着剤メーカーの株式会社オーシカさん、木工の先輩にお話を伺ったり、また自身も接着剤に関する資料に再度目を通しました。
「底糊」の効果について、具体的な立証結果というものを見つけることは出来ませんでした。それは使用材、枘の構造(長さ、幅、厚、胴付き面)、接合度、家具の使用条件等、多くの条件からその強度を立証することが難しいからだと想像します。

幾つかの点で頷けることがありました。
  • ごく浅い枘穴しか掘ることが出来ない場合に、枘先と底を密着する精度の高い加工を行い接着強度確保を狙う。
  • ダボ、ビスケットの表面は圧縮溝が付けられていて、接着剤の水分による膨張による接着面の加圧効果の期待と、穴底の接着剤が圧縮溝から押し出され接着剤が行き渡り接着効果が向上する。
  • ミニフィンガージョイントでは、接合部内隅の隙間を埋める加工処理が曲げ強さと美観のためにも推奨される。

<底糊:接着剤で満たすのが良い>という言い回しはあまり的確ではなかったようです。
通常の枘での過分な接着剤は胴付き面の接着を疎外することもありますし、枘穴の空隙を満たす適量の塗布も現実的には難しいです。接合部分には接着剤の未塗布部分を作らない、過分に塗布しない、空隙は小さい方が良い。ということになると思います。

今回、読者の方からのご質問で、改めて接着剤を勉強する機会を得ることが出来ました。充分な回答になっているとは思っていません。「底糊」についてはアタマに焼き付いています。引き続きヒアリングも行い、文献などにも目を通そうと思っています。新たな発見がありましたらまた記述したいと思っていますし、「底糊」についてご存知の方からのコメントもいただければ幸いです。

3月11日

東日本大震災から4年の時が過ぎました。

亡くなられた方たちに今一度心から手を合わせます。

亡くなられた方、行方不明の方を合わせると、わたしの故郷である石川県羽咋市の2万4,000〜2万5,000全市民(市町村合併前)がいなくなることになります。ましてや瓦礫に覆い尽くされること、想像することさえ怖くなります。

ビッグデータに思うこと

先日、NHKのテレビ放映でビッグデータによる震災の解析がなされていました。素晴らしいデータだと思いました。1,000ものデータからの解析とのことでした。

福島原発被害の細やかなデータは無いのでしょうか?原発被害の詳細なデータを明らかにすべきだったと思います。原発が無かった時と、建設、稼働、被害、経済的なことの比較のデータもあったのではないでしょうか?それとも意図的に出さない?

1,000ものデータが手元にあっても、どの項目を選択し解析するかは番組制作者の意によるものと思います。また、原発を推進するか、しないかの視点によって解析されるデータは大きく変わるものと思います。どんなに素晴らしいデータがあっても、生かすも殺すも意思次第となるようで怖いです。きっとそれらのビッグデータは高額な商品となっているのでしょう。出来れば多くのビッグデータを見たいものです。

個々への思い

阪神淡路大震災、東日本大震災‥‥想像できない被害は言葉に出来ない大きな衝撃でした。今、視線は被害の大きさから被害に遭われた個々の人へとなり、その方達の強さに自らを恥じ叱咤しています。
人は厄介なもので、身に降りかからないとその痛みは分からない。わたしも痛感しています。

もう一度、自分に対しても言い聞かせます。

 

生きる

生きるということ
生きて来たということ
生きているということ

生きていたということ
生きて行くということ
生き合うということ

生きるということ

生ききるということ

つまみ

削り出しで作った本紫檀のつまみ。
やはり、わたしはこのラインになるようです。

ふきのとう

2月27日、霙まじりの雨が降っていましたが、晴れ間を見計らい庭に出て陽射しの中で目を閉じると春が躰を包み込んでくれるのを感じます。

鹿さん、鹿さん、ちょっとぉ〜!

こちらに引っ越して来て3度目の春となりました。
初めての春。庭の隅っこでふきのとう(蕗の薹)を発見!天婦羅と味噌汁の具にして、大人の苦みに春の始まりを味わいました。

昨年の春。楽しみにしていたふきのとうは10個ばかり。前年末に50cmの積雪の後、雪らしい雪が降らなかったからかなぁ?などと想像していました。庭のあちこちに鹿の糞、糞、糞‥‥。前年、真面目に草刈りをしたせいで糞、糞、糞‥‥が目立つ目立つ鹿の糞

今年の春。ふきのとうがたったの1個しばらくすれば出てくるさと思っていたら、雪、雪、雪‥‥最大積雪量は80cm程となり、ふきのとうはまた雪に隠れてしまいました。

昨日、ひとときの晴れ間に残雪わずかとなった庭に出てみると、「唯一のふきのとうが‥‥
どうも、鹿のようです。木の皮まで齧られている昨秋は山の木の実が不作らしく熊も空腹のせいか既に冬眠から覚めているとのこと。鹿も空腹??

昨年夏、庭に斜めに走る獣道を発見していました。雪が降ると足跡が残るのでより明快です。ただこの地は、猿、鹿、猪、イタチ、狸、はたまた熊も出るようで、何の獣道かはわからないまま。

わたしがこの地で見た動物たちは、ごく日常的に猿、夜雪の様子を見ようと窓を開けた時に逃げ出した猪、鹿、農道をウォーキング中に見かけたイタチくらいです。
どの動物か??あちこちに撒き散らされている糞から想像すれば鹿なのですが、畑の方ではなく民家の方へと繋がる獣道と足跡からは鹿と判断しかねる次第。
今年、摘み取ったふきのとうで春を感じ取れるでしょうか?

 

多摩川河川敷にふきのとうはあるのだろうか?写真の上村君は春の笑顔を持っている。大人の苦みを味わうこと無く逝ってしまった。
合掌

抽斗とセンターガイド

収納で最も重要視され多用されている抽斗(引き出し)ですが、その基本構成は前板、側板、向こう板、底板からなるものの、用途に応じて様々な構造があります。

抽斗の構造はさまざま

個々の木工屋で基準となっている構造は、親方、先輩からの指導や技能専門校などでの先生の指導に依るところが大きいと思います。
前板と側板の取り付け方法、側板と向こう板の取り付け方法、底板の取り付け方法等様々でどの方法が一番良いとは言い切れないでしょう。材料コスト、制作時間、強度、意匠等から個々の木工屋がそれぞれ最善のタイプとして選択していると思います。
わたしは、側の縦桟(もしくは中仕切り、束(つか))と上下の棚口桟に前板がすっぽり収まるインセットを基本タイプとしていて、前板と側板とは包み打ち付け接ぎ(側板の厚み分、前板を欠き取る方法)、側板と向こう板とは小根追い入れ組み接ぎ、構成部材は底板も無垢材で、前板、側板、向こう板の内側下方に溝を回し底板を差し込んでいます。これを基本として、アウトセットにしたり、前板と側板との接ぎを手の込んだものにしたりしています。今後もこの基本タイプは変わらないと思います。

人って情けないもので楽な方法(加工など)を知ってしまうと、どうしてもそこに流れてしまう。例えば、寸法、カネが出ているはず、と基準面を無視してしまうとか、底板は合板でタッカーで留めるとか、甘い誘いはたくさんあります。それを打ち払い背筋を伸ばすのが注文家具を制作する姿勢だとわたしは思っています。ただ、その線引きは難しいですが‥‥

抽斗の受けとガイド

一般的に抽斗の受けとガイドは抽斗の側板が乗る受け桟と摺り桟に依ります。わたしも当然これを基本としています。

ただ、木工屋になってまだ浅い頃に図面を引いていた時、側を帆立を指した框組とした際、抽斗の左右の揺れを抑える摺り桟のスペースが無い!ことに気付きました。また、この構造だと抽斗を入れる際に側板の奥が帆立に当たってしまう。図面を引き直し、側の横桟の位置を上に上げて対処しました。それ以降は、正面である見付けの棚口桟の位置とのバランスを図るため側横桟の幅(厚み)を大きくしてセンター合わせを行ったりするなどしています。抽斗受け桟や摺り桟を後付けすることもありますが、一体として棚口桟と束、棚口桟と縦桟、ふたつの桟に枘組みした方が強度は増します。お客様が見ることなどほとんど無いでしょうが見た目も綺麗です。

また、抽斗を入れる際に側板の奥が帆立に当たってしまう、もうひとつの対処の方法はセンターガイドです。

センターガイド

わたしがセンターガイドを初めて知ったのは、アメリカ大使館で使っていたという中古の整理箪笥です。知人から抽斗にガタがあるので見てもらいたい、と言われたのです。大雑把な作りでした。プレス品にローラー式のセンターガイドはまあ良しとしても、左右に抽斗側板の受け桟が無い!他にも不具合がたくさんあり結局手を出しませんでした。不具合の多さがセンターガイドを意識の外に放り出してしまった!そんな感じです。

その後、すっかりセンターガイドは忘れていたのですが、工房通信 悠悠「引き出しセンターガイド」(2009年6月24日)で思い出しました。

抽斗センターガイド

当初わたしは、「引き出し底の下に取り付ける受桟(センターラン)」、センターガイドのガイドとしてセンターガイドを挟む桟を2本取り付けていたのですが、何竿か作っていて抽斗の嵌め合いを確認している時に、向こう板の底にセンターガイド用の欠き取りがあり、ガイドに接触しているのはこの部分のみ。抽斗左右側板の嵌め合いが良ければセンターガイドを挟む桟は不要でその部分のみ硬い材であれば良い。と結論付けました。ただ、間口の大きな場合には「受桟(センターラン)」が必要になる場合もあるでしょうが、底板600×600mm位までは問題無く使ってもらっています。

写真では向こう板の背にガイドとなる材を取り付けていますが、向こう板下部15〜20mmを山桜にする場合もあります。