削り出しで作った本紫檀のつまみ。
やはり、わたしはこのラインになるようです。
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抽斗とセンターガイド
収納で最も重要視され多用されている抽斗(引き出し)ですが、その基本構成は前板、側板、向こう板、底板からなるものの、用途に応じて様々な構造があります。
抽斗の構造はさまざま
個々の木工屋で基準となっている構造は、親方、先輩からの指導や技能専門校などでの先生の指導に依るところが大きいと思います。
前板と側板の取り付け方法、側板と向こう板の取り付け方法、底板の取り付け方法等様々でどの方法が一番良いとは言い切れないでしょう。材料コスト、制作時間、強度、意匠等から個々の木工屋がそれぞれ最善のタイプとして選択していると思います。
わたしは、側の縦桟(もしくは中仕切り、束(つか))と上下の棚口桟に前板がすっぽり収まるインセットを基本タイプとしていて、前板と側板とは包み打ち付け接ぎ(側板の厚み分、前板を欠き取る方法)、側板と向こう板とは小根追い入れ組み接ぎ、構成部材は底板も無垢材で、前板、側板、向こう板の内側下方に溝を回し底板を差し込んでいます。これを基本として、アウトセットにしたり、前板と側板との接ぎを手の込んだものにしたりしています。今後もこの基本タイプは変わらないと思います。
人って情けないもので楽な方法(加工など)を知ってしまうと、どうしてもそこに流れてしまう。例えば、寸法、カネが出ているはず、と基準面を無視してしまうとか、底板は合板でタッカーで留めるとか、甘い誘いはたくさんあります。それを打ち払い背筋を伸ばすのが注文家具を制作する姿勢だとわたしは思っています。ただ、その線引きは難しいですが‥‥
抽斗の受けとガイド
一般的に抽斗の受けとガイドは抽斗の側板が乗る受け桟と摺り桟に依ります。わたしも当然これを基本としています。
ただ、木工屋になってまだ浅い頃に図面を引いていた時、側を帆立を指した框組とした際、抽斗の左右の揺れを抑える摺り桟のスペースが無い!ことに気付きました。また、この構造だと抽斗を入れる際に側板の奥が帆立に当たってしまう。図面を引き直し、側の横桟の位置を上に上げて対処しました。それ以降は、正面である見付けの棚口桟の位置とのバランスを図るため側横桟の幅(厚み)を大きくしてセンター合わせを行ったりするなどしています。抽斗受け桟や摺り桟を後付けすることもありますが、一体として棚口桟と束、棚口桟と縦桟、ふたつの桟に枘組みした方が強度は増します。お客様が見ることなどほとんど無いでしょうが見た目も綺麗です。
また、抽斗を入れる際に側板の奥が帆立に当たってしまう、もうひとつの対処の方法はセンターガイドです。
センターガイド
わたしがセンターガイドを初めて知ったのは、アメリカ大使館で使っていたという中古の整理箪笥です。知人から抽斗にガタがあるので見てもらいたい、と言われたのです。大雑把な作りでした。プレス品にローラー式のセンターガイドはまあ良しとしても、左右に抽斗側板の受け桟が無い!他にも不具合がたくさんあり結局手を出しませんでした。不具合の多さがセンターガイドを意識の外に放り出してしまった!そんな感じです。
その後、すっかりセンターガイドは忘れていたのですが、工房通信 悠悠「引き出しセンターガイド」(2009年6月24日)で思い出しました。
当初わたしは、「引き出し底の下に取り付ける受桟(センターラン)」、センターガイドのガイドとしてセンターガイドを挟む桟を2本取り付けていたのですが、何竿か作っていて抽斗の嵌め合いを確認している時に、向こう板の底にセンターガイド用の欠き取りがあり、ガイドに接触しているのはこの部分のみ。抽斗左右側板の嵌め合いが良ければセンターガイドを挟む桟は不要でその部分のみ硬い材であれば良い。と結論付けました。ただ、間口の大きな場合には「受桟(センターラン)」が必要になる場合もあるでしょうが、底板600×600mm位までは問題無く使ってもらっています。
写真では向こう板の背にガイドとなる材を取り付けていますが、向こう板下部15〜20mmを山桜にする場合もあります。
ほぞ(枘)のこと<追記>
☆”底糊”について、読者の方から、枘穴へ接着剤を満たすこと、接着剤の種類による接着力の効果などのご質問がありました。今一度わたし自身も理解を深めるために調べて、後日ご報告させていただきます。
書き方が少し”底糊”を強調し過ぎていましたでしょうか?
枘の側面のみの接着剤塗布よりも、枘先と枘穴の底面にも接着剤を入れることで接着効果が高まる、ということです。このことは「“底糊”を効かせる」と言うようですね。
木の仕事の会「接着剤セミナー」(2009年2月17日 講師:株式会社オーシカ 名古屋営業所 松崎 力 様)で配布していただいたテキストに改めて目を通してみますと、接着のメカニズムとして、(以下、リスト表示部分はテキストより抜粋・要約)
- 木材表面の細かな孔に接着剤が侵入、固化して材同士をくさび状につなぎ止める「投錨効果」(アンカー効果)とする説『機械的接着』
- 木材分子と接着剤分子間の化学的な結合、もしくは電気的な引き合いによりつなぎ止めるとする説『化学的接着』
- 接着剤と木材の親和性(馴染む性質)<濡れ>、双方の分子間引力とする説『物理的接着』
があり、これら三つが組み合わさって接着が出来る。とされています。
枘先と枘穴の底面には否応なく空間が出来てしまいます。ただ空間としてあるよりも接着剤で満たしていた方が接着効果が高まる、と解釈しています。
接着剤には多くの種類(酢酸ビニル系、エポキシ系、フェノール系、ゴム系など。乾燥速度。1液・2液タイプ。etc.)があり、どれを選択するかは非常に重要ですが非常に難しいですね。使われた先輩方からアドバイスを受け使ってみる、と言うのがわたしにとっては現実的です。
接着剤がそれぞれ持っている性能を最大限に生かして、上手く使いこなすには、(以下、リスト表示部分はテキストより抜粋・要約)
- 材料の特性
- 接着剤を使用する際の環境
- 接着後に想定される必要強度、設置環境
等をチェックすべきなのでしょうが、これら全てを考慮して接着剤を選択、使用することは個人の木工屋では難しいですね。
ですので、わたしが接着効果を高めるために出来ることは、(以下、リスト表示部分はテキストより抜粋・要約、一部追加)
- 使用状況に適合した接着剤の選択
- 使用する材表面についた異物の除去
- 組み部分の形状変化(二枚枘、2.5枚枘等)
- 接着面積の増加(底糊、二枚枘、2.5枚枘等)
- 接着剤乾燥までプレス、クランプなどでの充分な圧締
などです。
接着剤、奥が深いですね。
ほぞ(枘)のこと
大工さん、建具屋さん、家具屋さんなど木の加工をする人にとって、継手や仕口は最も重要視されることは周知のこと。そして国を問わずその歴史は長く、その方法、種類はとてつもなく多い。
多くの継手や仕口を知っていることはとても大切なことではあるけれど、わたしたち木工屋は個々人、メインとして多用する数種の組み方を持っていて、制作物のデザイン、材のサイズに合わせて幅、長さ、深さの調整を行っている。そうでもしないと、角鑿の交換や位置決め、傾斜盤の刃高調整等加工に入るまでに時間が費やされ効率が悪くなってしまい、精度も出難い。組み方や寸法の数は少なければ少ないほど効率は良い。経験豊かな人は、全体のデザイン、部材の寸法、そして加工、継手や仕口の方法、寸法まで全てを眺望し効率的な作業手順を立てていることは想像に難くない。
多用しているメインの枘組み
わたしが多用しているメインの枘組みは「四方胴付き二枚平枘接ぎ」。良く言う二枚枘。ただ枘と枘の間は高くしてある。これを基本として材のサイズに合わせて幅、長さ、深さの調整、小根付きにしたりなどしている。
どうして枘と枘の間を高くしているか
木工を始めた当初は、この二枚枘の間は胴付き部分と同じ面だった。ある時、6mm厚の二枚枘でのこと、こんなことを思った。
- 枘の間の加工に一手間掛かる。
- 二つ目の枘穴を開ける時、角鑿の位置決めに直尺で確認しなければならない。
さらに極め付けは、
- 組んでいる時に枘が折れてしまった。
これらの経験から、枘と枘の間を高くすることにした。わたしは勝手に2.5枚枘と呼んでいる。この枘だと
- 枘の間の加工が楽。
- 角鑿の位置決めは、一つ目の枘穴の後、その枘穴に沿って間の枘穴、同様に二つ目の枘穴加工。直尺の確認がいらない。(基準面からの位置決め)
- 二枚の枘の間を高くすることで、枘の強度が増す。
- 接合面が多くなることで組み上がった時の強度も増す。
加工が楽になり強度も増す。結構、自己満足!
木工の諸先輩からすれば「常識!今更言うことじゃないよ。」と言われるかもしれない。かな?
枘に一手間
枘組みで胴付き面が隙間なく組み上がるのは何年経っても気持ち良く、ホッとする。毎回上手く行くわけでなく問題が生じることもある。
長い枘の場合、枘穴を枘の長さより深めに掘っているにも拘らず収まりきらないことがそのひとつ。
組み込んでいる枘穴の中は空気と接着剤が入っている。注射器の先を塞いでピストンを押すようなもの。導管が比較的大きなクルミやタモなどは導管から空気と接着剤が比較的逃げ易いが、木目の細かい硬質な山桜などは逃げ場は無いに等しい。枘穴の底は底糊(そこのり)と言って接着剤で満たすのが良いとされ※1、少しばかり多目に塗る場合もしばしば。
逃げ場のない空気と接着剤は、時にピストンである枘を跳ね返して来る。これを抑えるためもありクランプや端金で固定するのだけれど、結構無理して抑え込むことがある。「コナクソーッ!」と唸りながら‥‥。そうすると材が捻れた状態で固定してしまう。とりわけポニークランプは力を入れ易いこともあり、捻れが生じ易い。
そこで思い付いたのは、枘に空気と接着剤の逃げ道を作ること。写真のように彫刻刀の線彫り(三角刀)で両面に逃げ溝を入れる。ほんの一手間で跳ね返りは解消される。当然跳ね返りがないために、クランプを「コナクソーッ!」と唸りながら締めることもなくなり捻れも生じ難い。底糊も十分となる。
この一手間は全ての枘で行っているわけではない。それをやっていたら大変だ。長い場合、幅広の場合、木目の細かい硬質材の場合などに手を入れている。
一度、お試しあれ!
※1<底糊>:木の仕事の会「接着剤セミナー」で教わりました。
講師:株式会社オーシカ 名古屋営業所 松崎 力 様
2009年2月17日 <企画担当/進行:はやし弘志>
CADと10mm方眼クロッキー帳
立春を前に真冬に逆戻り。今日は吹雪いていて雪が芽吹き始めた山々や庭をまた白く覆い尽くし始めている。
今回はCADと10mm方眼クロッキー帳の話。
CADの使用
わたしは木工屋になってからパソコンでCAD図面を引くようになった。大垣技能専門校時代、JW-CADの授業がありそこで覚えた。
以前勤めていた会社ではMacが使われており退社後も自分で使うパソコンはMacとなった。デザイン関係のこともやりたかったし‥‥。技専でJW-CADを覚えMacのCADで応用を!と思ったが高額でとても手が出ない。そのためJW-CADはWin.対応であることから、知人にCAD用に安くWin.パソコンを作ってもらった。MacのCADソフト価格の6分の一。
JW-CADは、ネット上から無料でダウンロードできるが、知らないことが多いためインストール用CDが付属しているガイドブックを購入して使っていた。使い始めはあたふたともたついていたが、それも慣れで使用する要素を覚えれば非常に効率的に作図が出来、細かなほぞ構造は勿論だが、簡単に角度が出ることなど墨付け、木取りには随分役立った。
また、友人から聞いた話だが、ネット上からダウンロードしたものは、プリントアウトした時に図面上に「JW-CAD」が薄いグレーで大きくプリントされる、とのこと。2,500円程度でテキストと共に入手して正解だったかな。
そのJW-CADも、数年前にWin.パソコンが故障し今はMacに古いCADをインストールしてCAD図面を引いている。
- 修正が容易であること
- 電卓で計算しなくても寸法が出ること
- 角度が出ること
- レイヤーのおかげで重ね描きが出来、プリント時に必要なレイヤーを選択出来ること
- お客様にも渡し易い
等々、魅力は多々ある。
10mm方眼クロッキー帳
CADを使い始めた頃は、CADに慣れたいという気持ちもあって、ほぞの構造まで全てを細かく描いていた。が、10mm方眼クロッキー帳を手にしてからは、ほぞなどの組み部分は手描きになった。
クロッキー帳は、高校時代からアイディアスケッチなどで使っていたもので、価格も画用紙のスケッチブックと違い安い。紙厚は勿論薄い。高校時代はA3サイズ、B4サイズを使っていたが、大学時代からはA4サイズとなった。この時点ではまだ無地のものを使っていた。会社勤め時代もノート代わりに使っていた。絵も描けたし文も書ける所謂便利帳。入手先は画材屋さん。
木工屋みしょうを開設して間もなくのこと、画材屋さんで10mm方眼クロッキー帳を発見。無地のものより価格はわずかに高いが、使い勝手が良いかも、と購入してこれにハマってしまった。
- 10mm方眼であることから、ほぞ部分等組み部分の原寸を簡単に描ける
- 作業場で材の寸法を確認しながら描ける
- 木取り表なども下地線のおかげで見易く書ける
- お客様との打ち合わせ時のイメージスケッチも描き易いし、綺麗に見える
等々、クロッキー帳ならではの魅力である。
現在作図は、全体図をはじめ大きな部分はCADを、ほぞ部分等組み部分については10mm方眼クロッキー帳、という具合に使い分けている。
まだパソコンなど世に出ていない高校時代、ドラフターの使用があるかと思っていたが、学校の予算の都合上ドラフターは設置されてはおらず使うことはなかった。机上を傾斜出来る硬質メラミンの大振りのデザインデスクが個々人に割り当てられていた。当時もしドラフターを使っていたなら何処からか入手して使っていたかもしれない。製図は得意科目でもあったし(先生曰く:字が綺麗なら申し分ないのだが‥‥)。
読者の方も、一度「10mm方眼クロッキー帳」を使ってみてはいかが?
クロッキー帳はインターネットで検索すれば直ぐ探し出せます。サイズ、紙質等によって多くの種類がありますので確認が必要です。一冊300円程度。わたしは10冊のまとめ買いです。



