初雪が舞った先週、CADを使って製図。木取り表の作成。
家の中でのデスクワークは、さびぃ〜!! 部屋の中は3度だわ!
セーターにフリースの重ね着、足腰を毛布でくるみ、足指包むスリッパ履いて、白く凍える指先でキーボード。
木工屋は、カラダを動かさないとフリーズしてしまう!
ある日の会話
「今、拭漆やってるんですけど、乾いてくれなくって泣いてます」
「あら、漆やってるんですか?」
「ええ、拭漆」
「かんざし作ってくださいな」
「かんざしって、柘植(つげ)でですか?」
「櫛じゃないわよ。かんざし、一本かんざし。柘植じゃなくって構わないのよ」
「一本かんざしって、何ですか?それ」
「あら、わからない?箸よ、箸」
「はああ?箸??」
「そう、箸の一本を髪に刺すのよ」
「……もしかして日本髪結ったところに刺してるあれですか?」
「それもかんざしだけど。長い髪をクルって巻いて刺して髪を留めておくのよ」
「はああ?一本で髪留まるんですか?」
「留まるわよ。調べてごらんなさい。じゃあよろしくね」
「はぁ……」
ってことで『一本かんざし』なるものを作ることに。
どんな風に使うものかYouTubeで見てみた。
なるほど……
ローズウッドに拭漆。黒檀のように真っ黒。
今までの経験を思い出しながら久しぶりに拭漆をしていました。
そこで、拭漆の際に留意している事項を整理したいと思います。ただ、ここでは基本的な拭漆の作業行程は書きません。あしからず。
読者の方が少しでも漆仕上げ(ここでは拭漆)に興味を持ち、その仕上がりの美しさを自身の手で感じ取ってもらえればと思っています。木工仲間の中には仕上がり時間が長い、かぶれが心配、などから敬遠したり外注したりする人もいますが、わたしは仕上げの中で最も美しいと思っています。美しく仕上がって行くのを待つ過程はある意味で恋愛感情にも似ているようにも思います。
乾かない漆は本当に乾きません。<乾く=乾固>
乾かない漆に乾いてもらうには、乾く漆と混ぜると乾きます。「やさしく身につく漆のはなし」((社)日本漆工協会編)に書かれていました。
今回、塗り4回目で乾かない漆となり1週間経っても乾かないため漆を買い直しました。テストピースで乾くのを確認した後、乾かない漆を溶剤で落とし1日置き新しい漆100%を塗り仕上げました。流石に乾かない漆と混ぜる勇気はありませんでしたが、終了後、テストピースでどれくらいの比率で混ぜ合わせれば乾くかを確認しました。
乾く漆:乾かない漆の比率で、1:1.5までは1:0と変わらない時間で乾き1:1.8以上からは少し時間を要しましたが乾きました。1:1ならば問題なく乾きます。
ピューター合金鋳物でのツマミ、把手の取り付けのご希望です。
以前制作した厨子.4で使ったものが気に入られたようです。
良い機会なので、制作工程を書くことにしました。
ピューター合金は錫(すず)の合金で、一般的に錫(Sn)91%:アンチモン(Sb)7%:銅(Cu)2%で調整されています。錫のみでは剛性が出ません。わたしが初めて手掛けた際100%の錫が良い!と勝手に思い込み作ったのですが柔らかすぎて手の力で変形してしまい改めてピューター合金を購入し直しました。
ピューター合金は銀白色の光沢で美しく、その歴史は紀元前まで遡るとも言われ、欧州を中心に日常品、工芸品(アーツ・アンド・クラフト運動、アール・ヌーヴォーなど)として評価されてきたものです。好き嫌いもありますが、型の異物の黒い汚れが残ってもそれが逆にアンティークさを醸し出します。
融解温度が320度程度と低温であることから家庭用のカセットコンロの火力でも十分に融解できます。錫が主成分であるためにヤスリや鋸などの加工は容易ですが、機械的強度・剛性は真鍮よりも低くネジ山を切っても直ぐにナメてしまいます。そのためビス止めをする際は六角ナットを埋め込む必要があります。
ピューター合金での制作工程を書いていきますが、わたしなりのものです。人によってはモデルを抜いて注湯したりもすると思います。試される方は色々工夫してみてください。
となります。以下、ナットを埋め込むツマミ、把手の制作工程を写真と注意したことなどを書きます。
久しぶりに拭漆(透き漆)仕上げでの仏壇制作です(デザインは依頼元)。
拭漆仕上げは、組み立てる前に部材を漆で仕上げることが基本であるため、寸法精度、表面の仕上げは随分気が張ります。
先日、小谷漆店のご主人と話していた際に
「漆の塗り方は、人それぞれ。経験の中から自分が良いと思う塗り方をしている。どの塗り方が正解ということはないだろう」と頷き合っておりました。
わたしも幾らかの経験から自分なりに良いと思う塗り方をしています。が、その都度微妙に変えています。漆の浸透具合、色、艶の具合が材によって微妙に違うからです。そのため、初回に漆に溶剤を加えない時もあれば逆に漆の2割ほどの量の溶剤で希釈する場合もあります。また塗る回数は最低6回、多い時では10回程度。6回までは塗り重ねるごとに毎回色、艶が明らかに変わります。6回目以降は微妙な変化で塗り重ねる度ごとの変化は見分けが付きません。ただし、6回のものと10数回のものとを比較すると明らかに違いますが‥‥。言い過ぎになるかもしれませんが、美術工芸品でなく日常使う家具での拭漆では最低6回で十分と感じています。それ以上塗り重ねる場合は色、艶が思うように出てこない場合か、中途半端に漆を使い残した場合か、わたしの自己満足か、です。
拭漆では下地作りが大切ですが、どれだけ綺麗に拭き取るかが最も重要とわたしは思っています。仕上がりを大きく左右します。
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