着色の憂鬱

わたしは積極的に着色する方ではありませんが、部材の色違いや濃淡の違いを解消するために使うことがあります。しかし、メーカーの見本のように上手く出来ないのです。
例えば、原液100%で塗った見本、水で50%に希釈した見本などを見比べておおよその濃さを試してみます。試し塗りの小さな面積の場合は良いのですが、いざ表面積が広い完成品への塗布となると、材自体が乾燥しているために塗布すると直ぐに乾き始め、全体を塗り終えた時点でムラだらけになっている。そのため、塗料を染み込ませたウエスで乾ききらないうちにベタベタに塗り、急いで乾いたウエスで拭き上げることになります。ムラは解消されます。しかし半日乾燥させれば毛羽立っているためサンディングし、ベタベタにまで塗らないものの再度塗り、拭き上げます。すると、例えば50%程度の濃さを求めていても100%近くの濃さになってしまう。
嗚呼、着色の憂鬱……

肘掛け椅子2017

肘掛け椅子2017 そこで、水性顔料2種類を比較することにしました。参考にしてもらえればと思いますし、読者の方からご意見などいただければ、と思っています。
あくまでもわたし個人の見解です。使用される際は自身の責任で行なってください。

水性顔料の比較

使用した水性顔料の2種は、

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座板への蟻桟

座板ですが、木工の先輩の一人は「座板での接ぎはイモ接ぎ、蟻桟は入れたことがない。割れたこと(キレたこと)はないよ」と話してくれたことがあります。わたしはダメです。イモ接ぎはわたしもしますが、蟻桟は何らかの形で必ず入れるようにしています。お客さんから「昔買った量産品の座板が割れた」と何度か聞いたことがあり、また反りへの対策は必要と考えているからです。

今回の座板の蟻桟は、後は単純に蟻桟、前は脚部の横揺れ防止を兼ねた蟻桟としています。通常の蟻桟はテーパー形状ですが、今回の蟻桟は前後ともテーパーを入れていません。蟻桟の固定位置を桟の中央に持ってくるためです。そうすることで座板の伸縮は固定位置から左右均等(計算上)になるからです。特に前の蟻桟は脚部と枘で固定するため、座板の伸縮が左右どちらかに偏ってしまうと座板が膨張した際に枘を抜いてしまう危険性もあるからです。また座板と脚部は伸縮への遊びを持たせた相欠きで強度を持たせているため蟻桟の板厚は15mmでも十分です。

小さな便利治具

蟻桟を位置決めする際、テーパー形状の場合は先端部分に下穴を開けてビス留め、丸棒で下穴隠し、を見掛けることが多いです。わたしは丸棒そのまま突っ込みます。ビスが好きではないからです。ただ丸棒を突っ込む際、注意しなければならない点があります。注射器と同じで下穴の空気が抜けないと丸棒は底まで入りません。特に深い下穴が顕著です。本体に掛かり始めたところで入らなくなる場合があります。そのため、丸棒には線彫の彫刻刀で溝を2箇所くらい入れ、空気とボンドを逃がすようにしています(長い枘と同様)。穴の深さを丸棒に記しておくと底まで入っているか確認できます。

下穴用治具(ガイド)

今回のように蟻桟を中央で位置決めする場合は斜めに丸棒を差し込みます。その際に便利なのが斜めに下穴を開けるガイド治具です。ドリルのみで開けようとすると刃の回転で本体、桟とも傷だらけになり綺麗に開けられません。
作り方は至って簡単です。カネ出しした角材をしらがきできちんと墨付けし穴を開け、部材に当たる部分を45度ずつカットすれば完成です。穴にシリコンスプレーを染み込ませておくとドリルで穴を傷つける度合いは小さくなり動きもスムーズです。

おまけ

夏が来〜れば顔を出す〜 My Friend !

座刳り

椅子の座刳りですが、わたしは鉋のみです。
木工を始めた頃、ルーターで粗掘りしたり、トリマーのプレートに専用の治具を作って取り付けてみたり、丸ノコを使ってみたり、いろいろと試行錯誤を繰り返したものです。
上手く電動工具を使える人はそうすれば良いのでしょうが、わたしは上手に使えない。手鉋が性に合っています。電動工具の刃物痕を追うような仕上げは、わたしは綺麗にできない、ということです。

尻の荷重点に円を二つ描き、四方反り台鉋で粗掘りしそれを基準として掘り進めて行きます。
照明を真横に近い感じで座板に当てると、掘り残し部分やこぼれている箇所が分かり易いです。鉛筆で縁部分に斜線を入れてみたりもしたのですが、横からの照明の方が縁部分も分かり易くRの加減も掴み易いです。

おまけ

40年履き続けているLEVI’s505。ツギハギを続けて作業着としていたけれど、もう限界……かな。

40年履き続けたLEVI's505

ドリルで丸棒

木工を始めた頃、「手づくり木工事典」(婦人生活社刊)に時たま目を通していました。
掲載されている記事の中で実践してみたのが丸棒作り(※)です。木工仲間もやっていました。読者の中にも懐かしく思われる人もいるかもしれません。
ハンドルーターと電動ドリルを使用して作る方法です。少し大きめの穴から材をドリルで回転させながら押し入れルーターで切削してセットした穴から丸棒を出す、簡単に言えばそういう仕組みです。電動工具を2台同時に使う発想の豊かさに自身のアタマのカタさを嘆いたり……。
当時、楢とカツラを主材としており埋め木用として必要としていたわけです。治具の制作、ルーターのセッティングは精度が必要なのは当然です。そのため一旦セッティングすると再セッティングが煩わしく思われ多めに作ることになるわけです。今もカツラの丸棒が残っています。余談ですが、その当時はカツラの流通量が多く低価格であり抽斗の構成材として使っていました。ところが今は入手も困難、高級材となり、抽斗は主に国産桐へと変更、埋め木も専用のドリルで作るようになりました。

丸棒作り

今回の丸棒作りはつまみ用として作り置きしておくものです。本紫檀、ブラックチェリー、ブビンガの杢材です。治具も新しく作り、セッテイング径は15mmと18mmとしたのですがコボレを落としたりサンディングして13.5mmと17.5mm。まっ、良いか!旋盤を持っている人を羨ましく思ったり……。

※ 掲載号、執筆者が思い出せません。申し訳ありません。

書類整理用の小抽斗

A4書類、名刺等の整理用小抽斗の制作です。

抽斗はあまり大振りだと整理したようであっても実は整理できていないものです。小振りである程度の数があると頭の記憶装置にも優しいです。
材はマホガニー、本体はダークに着色しましたが抽斗前板は無着色で明るめとし、抽斗部分を側から少し奥に入れ浮き出ないようにしています。つまみも本紫檀の削り出しで小さくし上品な仕上がりとしました。
側の見付けは蒲鉾のR加工、前板にも丸面加工を施しています。
7杯の抽斗の上段のみ外寸法高さは75mm、他は70mmとしています。上段は名刺整理ボックスを収納できるように5mm深くしたわけです。天板の庇があるため大きさの違和感は出ません。7杯ともスライドはセンターガイド方式としています。
側の縦と横桟は馬乗り枘で組んでいます。天板はフレーム型天板で鏡部分の伸縮が気にならないように処理しています。
名刺収納boxは、同じくマホガニーで四方をあられ組としています。

おまけ

21日は大雨の予報、雨が降る前にに家の周辺の草刈りです。裏庭が広いのはとても気持ちが良いのですが雑草がスゴイ!年3回の草刈りを計画しているものの、好天が続き一面40cmくらいにまで伸びすでに2回目の草刈りとなりました。

畑にすれば?と言われるのですが石だらけであり水はけが悪く、ただ地があるだけ。お隣さんから「使わないなら、(雑草)放っておけば?」と言われても草ボウボウがダメな性格です。